暮らしやすさと開放感が魅力の「平屋」特集2

「暮らしやすさ」と「開放感」が最大の特徴である平屋。
居住空間がワンフロアで、上下階の移動がないため家事動線もシンプルになり、
さらにのびやかな高天井や明るい大開口が実現できます。
構造上の制約が少なくシンプルな平屋だからこそ可能性は無限大。
平屋の住まいならではの魅力に建築家の経験豊かなアイデアをプラスした実例記事が満載です。

大人気の「平屋特集」を、ぜひみなさまの住まいづくりの参考にしてください。

まるで森の中にいるよう。 開放的な空間から庭を楽しむ家

愛知県豊橋市 / F邸

施主であるF様は、植物やそれに合わせたインテリアなど、ライフスタイルを提案するお店を経営されている方。F邸は家の三方を木々が囲み、特に東側には緑地公園の木々が生い茂る、まさにグリーンを扱うF様のお仕事にぴったりな環境に建てられた家といえる。「ゲストに自宅の庭を紹介したい」という要望も叶い、お招きしたゲストとともに庭を楽しみ、にぎやかに、またはゆったりと時間を過ごされる機会も多いのだとか。

hm+architects一級建築士事務所の伊原洋光さん、みどりさん夫妻は、建築予定地を初めて見たとき直感的に家のフォルムのイメージが湧いたという。

ポイントとなったのは敷地の形と、隣接する緑地公園。スロープ状の長い通路を抜けると、東西に長いくさび型の敷地が広がる。敷地の東側には深い森のような緑地公園があり、南側は公園の末端が敷地を縁取るように回り込んでいる。この条件からおふたりが導き出した案は、東西に長く、への字に曲がった家。「公園の緑も庭の一部のように楽しめる、のびのびとした平屋をつくるのがいいのでは」との思いからだった。

暮らし方はそのままに、思い出の母屋を一新 桜を望むテラスを備えた「風が通る家」

埼玉県所沢市 / 東新井の家

まず建物はTさんの年齢を考え、上がり下がりのない平屋にすることに。また、Tさんから「100年以上持つ家にしたい」という要望があったことから、複雑な構造は避け、屋根と建物の形も最大限シンプルに抑えることにした。大屋根を掛け軒を深くすることで、雨や夏場の日差しから住まいを守り、外壁の熱負荷を少なくするという細やかな工夫もされている。

南北に広い開口部を設けることで風通りが良くなるよう工夫されているT邸。桜の名称として知られる東川に面している敷地の北側にはテラスを設置。春には桜を見ながらくつろげる空間が出来上がった。「川は見えないのですが、川のせせらぎは聞こえます。ちょうど打合せをしたときが春だったので、桜を見ながら過ごせる、京都の川床みたいな場所を作れたら…と思い、テラスを設置することにしました」。と水野さん。このテラスはゲストルームとダイニングに面しており、さながらアウトドアリビングといった雰囲気だ。

居場所をデザインしたワンルームの大空間。家族がゆったりくつろげる平屋の家

茨城県水戸市 / 水戸市の家

部屋数の多さにはこだわらないから、家族がゆったりくつろげる大空間が欲しい──。そう考える人は多い。学校や商業施設が近く、子育てファミリーが生活しやすい水戸市内の住宅街に自邸を建てたAさまご一家もそうだった。

望んでいたのは、ご夫妻と小さなお子さま2人の4人家族がのびのび暮らせるワンルームの家。そこで、設計を担当した蘆田暢人建築設計事務所の蘆田暢人さんは、天井の高い平屋の住まいを提案。寝室以外の部屋はLDKだけで、ワンルームというAさまの要望にばっちり応えるプランだ。

中庭があることで北が南に。 中心から太陽の光が行き渡る家をつくる

新潟県 / 中庭のいえ

かっちりとした長方形ではないフォルム、壁面には飾り棚のようなものもついている。入り口はシンプルな木製のドア。センスを感じる佇まいの建物だが、初めて訪れたときには人が暮らす家だとは信じられないかもしれない。窓が極端に少ないからだ。

扉を開けて室内に入ったら、明るく開放的な雰囲気にますます驚くことになるだろう。

その秘密は家の中心にあった。まんなみ一級建築設計室の堀井博さんが設計したK邸は、生活空間の中心に中庭を内包している。家の外側に窓がない代わりに、家の中心から光が隅々に行き渡っているのだ。

まるで公園!広い庭とテラスで内と外がつながる、開放的な住まい

青森県南津軽郡 / 福島の家

打合せの際にKさんから葛西さんに伝えられた要望は、「移動が少なくて済むシンプルなデザインの平屋」。そして、「子ども部屋2室、リビングとご夫婦の寝室」、「屋根付の駐車スペース」、「低い天井高で落ち着いた空間」だったそう。それ以外は基本的にお任せということで、葛西さんのプラン作りは始まった。

Kさんが購入した土地は東西に長いため、必要な間取りを平屋で確保しても、どこかに空き空間ができる。この空きをどう生かすかを考えた末に思いついたのが、駐車スペースと建物を両端に配置し、その間の空間を公園のような広い庭とするプランだった。

平屋の採光性を配慮した設計 コンセプトは「箱をつなげた家」

愛知県津島市 / 箱つなぎの家

家づくりのスタートにあたって、土地探しからはじめたN様。見つけた土地は旗竿地で、ご要望は「平屋」「少し離れた仕事部屋」「カーテンを開け放していても、外からの視線が気にならないリビング」だった。最初は他社にプラン提案をお願いしていたが、どこかピンとくるものがなかったため、他の案も見てみたいと思い、WEBで設計会社を探したという。その中で、NATURE SPACEのサイトのデザインが好みと合ったことから、プラン提案を依頼。

NATURE SPACEでは、土地探しから施主の相談にのりながら一緒になって決めていく。その際、「高低差のある土地や変形地もおもしろいんだよ」と伝えることが多いという。ほとんどの施主は、普通の成形地に建てることしか思い浮かばないため、あえて変形地を勧めることもある。その理由は、変形地は成形地に比べて土地代が安い分、建物にかけられる予算がアップするというメリットがあるからだ。

小さな家でも広々と暮らしたい。 中庭を配した、開放感あふれる住まい

栃木県宇都宮市 / K邸

Kさんと吉田さんの家づくりは、土地探しから始まった。奥様の要望は、住宅地で都市ガスがあるところ。そこで候補に挙がったのが、この土地だった。広さもある程度あり、切り開かれていた土地なので造成のお金も抑えることができる。価格も相場の6割程度だったことが大きな決め手となり、Kさんはこの土地の購入を決意した。

設計当初、Kさんから伝えられた要望は、「収納力が高いウォークインクローゼットとキッチンのパントリーの設置、大きく感じられるLDK、そして、将来子どもが生まれたときに子ども部屋にできるようなロフト」。と、とてもシンプルだったそう。この要望に沿って吉田さんがまず考えたのが、家の配置だった。「周辺の家は斜路となっている前面道路に対してセットバックして南側を開けているところが多かったのですが、そういう一般的な建て方は嫌だったんです」。そう語る吉田さん。この家らしい個性を出したいと何パターンか配置を考えた結果、敷地に対して建物を長方形に西に寄せるという案に決定。そうすることで、前面道路から離れすぎないほど良い距離を保ち、東側にはささやかながら明るいテラスと、駐車場を確保することができた。

和と洋の融合で自然と調和 人生の最終章を豊かにする夫婦の住まい

福岡県筑紫野市 / I邸

施主のIさんは、もともと家族でこの地に長く住まわれていたが、子どもたちが独立。夫婦2人だけの生活となり「老後の余生を2人にとって最適な暮らしができる家で暮らしたい」と考えるようになったという。いわば「終の棲家」への建て替えだ。

Iさんからの要望は、「足腰に負担のかかる階段は極力避けたい」「リビングや寝室からトイレへの動線を短く」といったものだったという。
その要望に応え、石川さんがとった方法は、広い土地を活かした勾配屋根の平屋とすること。また、使うことの多い居間、座敷、主寝室、トイレの4つのスペースは、田の字形に配置し、どこからでもアクセスしやすい動線とすること。

最も長い時間を過ごすであろうリビングには大きな水平連続窓とそれに続く縁側を設けた。窓を開け放てば、内と外がシームレスにつながる。その上部には、勾配屋根の軒を長くせり出させた。この軒は単なる雨除けではなく、夏の日差しを遮り、冬の低い太陽光を導くものとなっている。また、隣接した座敷の扉を開け放つと、こちらにも大開口があり、縁側、リビング、座敷が一体となった大空間となるのだ。

シャビーな雰囲気漂う 憧れの「サーファーズハウス」

千葉県大網白里市 / W邸

もともとサーフィンが趣味だということもあり、シャビ―な雰囲気を持つサーファーズハウスに憧れていたというWさんご夫婦。そんなWさんが若林さんに要望したのは、海から上がってすぐに浴びられる屋外設置のシャワーと、濡れたままでも平気な土間。そして、南側の庭と、そこにつながる広いリビングだった。

この要望に沿ってさっそく複数の設計プランを検討した若林さん。当初は2階建てプランも考えたが、動線を考えた結果、動きやすい平屋にすることにした。このときにこだわったのが、家の印象を決める屋根の形状だ。通常であれば普通の家型の切妻屋根にするところだが、それだと少し平凡になってしまう。そこで個性を出すため、切妻屋根の棟を家の対曲線に回転させた形状を提案。その結果、どこから眺めても斜めという、W邸の特徴的なフォルムが誕生した。

親しい人と暖炉を囲む幸せなひととき。 地元の自然と工芸が、穏やかな時間を刻む家

岐阜県下呂市 / Q邸

施主さまは、息子さん夫妻の住まいの隣に立つ平屋住宅で、1人暮らしを始めることになった方。入居にあたり、築40年以上を経ていた既存住宅のリノベーションを託されたのは、自然素材や工芸品に造詣が深く、上質で心地よい住まいづくりに定評のある武川正秀さんだ。

まず武川さんは、高齢の施主さまが1人暮らしであることや予算を考慮し、改修は南側の2つの居室、水まわりなどの生活空間に絞った。その上で内装、バリアフリー、壁の断熱化、耐震強化などのリノベーションを実施。しかし今回のプランで最も目を引くのは、「友人と楽しくお酒を飲める場所が欲しい」との要望に応えて誕生した、ウッドデッキとリビングだ。