「土間」特集_VOL.4

土足で入れる便利さから、日本家屋でよく利用されてきた「土間」。
かつての「暗い」「寒い」というイメージは、今はもうなく、内と外の空間をつなぎ、暮らし方の幅を広げるスペースとして注目されています。
薪ストーブを置いたり、自転車をディスプレイしたりと、使い方は無限大。

そんな、多彩な用途をもつ機能性と、空間にゆとりを与えてくれる「土間」のある暮らしにこだわった住まいをご紹介します。
ぜひみなさまの住まいづくりの参考にしてください。

施主、大工、建築家の「共創」から生まれた 北アルプスを望むハーフビルドの“新築古民家”

長野県小川村 / 土間の家

北は北海道から南は九州まで、移住先を探すため日本各地を訪ねたというクライアントご夫妻。そしてようやく巡り合ったのが、北アルプスを一望する山間の集落の土地だった。その素晴らしいロケーションを活かした「土間の家」を手掛けたのは、建築家の坂利春さん。さて、どんな家となったのか、これから見ていこう。

家の中心にある通り土間を、風が吹き抜ける 四季と眺望を楽しめる高機能住宅の誕生秘話

岐阜県関市 / 巾の家 / 通り土間のある家

岐阜県関市に、独創的な家が誕生した。高機能・高断熱住宅であるのに、家の中心には南北に通り土間があるのだ。扉を開けると、心地よい風が通り抜ける。通り土間を進むと、眼前には美しい田園風景が広がる。この眺望を最大限に満喫できるよう、外構も同時に考えられた。この独創的な家の秘密を、ご紹介しよう。

出入り自由、誰もが使える通り土間。 美しい田園風景になじむ、切妻屋根の家

熊本県熊本市 / 切妻と土間の家

建築家の林田さんが自邸を建てるため選んだ土地は、一面に田んぼが広がる農村地帯にある。田んぼを眺めつつ生活できる平屋は、切妻屋根も美しくしっくりと風景になじんでいる。それだけではない。出入り自由、誰もが使えるパブリックスペースとして通り土間を設けるなど、本当の意味で地域に根付いているのだ。

おうちでキャンプ気分。 土間を楽しむスキップフロアの家

埼玉県川口市 / T邸

土間のある家を得意とするコーデザインスタジオの小嶋直さんが、アウトドア好きのご一家に提案したのは、「土間でアウトドアグッズを普段使いする暮らし」。目からウロコの発想で、家族の楽しみも実用性も実現。土間を考えている人にぜひ見てほしい住宅だ。

光と風が心地よく通る! 傾斜地を生かした「土間のある家」

神奈川県横浜市戸塚区 / M邸

ずっとマンション暮らしだったこともあり、憧れの一軒家を建てることを決意したⅯさんご夫婦。希望したのは、趣味の革細工や裁縫をするためのワークスペースと外につながる庭がある家である。購入した土地は、東側に位置する川に向って緩やかに傾斜する敷地。設計を担当した平山教博さんがトライしたのは、土地の利を生かし、光と風が心地よく通る家づくりだった。

土間縁側で内と外がゆるやかに繋がる 夫婦の時間も家族の集まりも心地よい家

愛知県額田郡幸田町 / 土間縁側のいえ

昭和初期に建てられた農家建築を取り壊し、夫婦2人の住まいを建てることを計画したMさん。依頼を受けたアトリエウィの宇佐美さんが提案したのは、以前の家の面影が感じられるフォルムを持ち、昔の暮らしぶりを、現代にマッチした形で再現できるような、土間縁側をもつ家だった。

通り土間で居場所を増やし、家をひとつに。 風が気持ちよく抜ける、深い軒がある家

佐賀県佐賀市 / 佐賀の家

和モダンな雰囲気を持つ家を新築したいと考えていたお施主さま。依頼を決めたのはこれまでも多くの和の家を手掛けた、建築家の湊さんだ。要望を芯から理解し、デザインが洗練されているだけでなく、心地よく風が抜ける光に満ちた家を実現。鍵となったのは通り土間と深い軒、そして吹き抜けだという。

土間が心地よい距離感をつくる二世帯住宅。 多忙でもすっきり片付くスキップフロアの家

三重県桑名市 / 土間でつながる家

ご両親と同居するための家を新築することに決めたお施主さま。依頼を受けた建築家の加藤さんはヒアリングを重ね、間に土間を挟んで2棟とするほうが望む暮らしができると考えた。忙しく働くお施主さまが家でゆったりと過ごせる秘訣は、散らかりが気にならず、片付けやすいスキップフロアのおかげだという。

公園の緑に包まれる広縁と、 ブックカフェのような土間空間のある家

東京都 / 公園の緑を取り込んだ家

向かいの公園の緑を効果的に取り込み、建築面積が約9坪という制約を感じさせない居心地抜群の住まいをつくり上げた菅家建築計画工房。どの家にも存在する「あるスペース」を省いて誕生した、洒落たブックカフェのような土間空間も必見だ。