昭和初期に建てられた農家建築を取り壊し、夫婦2人の住まいを建てることを計画したMさん。依頼を受けたアトリエウィの宇佐美さんが提案したのは、以前の家の面影が感じられるフォルムを持ち、昔の暮らしぶりを、現代にマッチした形で再現できるような、土間縁側をもつ家だった。
この建築家にシンク兼ダイニングテーブルは、天然石の天板を採用。奥様の趣味のパン作りにも重宝しているという。
内と外をシームレスにつなぐ土間縁側は、様々な使い方ができるユーティリティースペース。大きな掃き出し窓、高窓、天窓といういくつもの窓から光が差し込み、ついひなたぼっこしたくなる空間だ。
室内にある離れのような和室は、琉球畳と堀炬燵がある現代風。アクセントカラーのブルーの扉で仏壇を目隠し。床下エアコンからの暖気が、部屋の隅にあるガラリを通して室内を柔らかく暖めるという
和室の先の地窓付近には、地面から直接生えるように木を植えた。縁側も設けられており、この場がより一層、屋内でもあり、屋外にも感じられるアクセントになっている。
階段スペースをLDKと和室の間に持ってくることで、2つのゾーンが緩やかに隔たるとともに。光や風の通り道にも。
2階の階段ホールには、読書にうってつけのベンチを造作。高窓により遠くの樹々を見渡せる、視線の抜けをもたらしている。
撮影:塚本浩史