広島・山口・岡山・島根・鳥取「中国」エリア特集

広島・山口・岡山・島根・鳥取に、事務所を構えている建築家に特化した特集です。
該当エリアでお住まいを建てられるご予定がある方々は、ぜひご活用ください。

1枚屋根の下でどこまでも伸びる視線。 大らかに家族が繋がる2世帯住宅

広島県 三原市 / 久井の長屋

「久井の長屋」の施主、Wさまと橋本雅尊建築設計事務所の橋本雅尊さんは数年来の友人同士。橋本さんの家づくりに対する考え方に共感し、橋本さんが独立するのを待って、自宅の設計を依頼したのだそうだ。

きっかけは、両親と別に暮らしていたWさま夫妻がご主人の生まれ育った実家に戻ると決めたこと。夫妻と両親に加えて祖母、2世帯3世代が一緒に住まう家を新築するにあたり、橋本さんに伝えたイメージは「1世帯住宅の延長線上にある2世帯住宅」だ。世帯ごとにエリアは分けつつ、家族の仲の良さを保ちたいのでお互いの距離は近く、という希望からだった。

提案したのは、1階に家族が集まるLDKと水回りに加えて親世帯と祖母の寝室を設け、2階に子世帯のリビングと寝室、ゲストルームを配置するプラン。2つのエリアはLDKの吹き抜けを介してリンクしている。

家族や親せき、ご近所さんとの「縁」を育む 老境を迎える夫婦のための、縁側のある家

島根県出雲市 / 里方の家

この家においてももちろん、施主に寄り添う姿勢は変わらない。「旧家に手を入れてリノベーションして住み続ける」「真新しい家に建て替える」という選択肢の中で、さまざまなプランを検討した結果、心機一転新築することにしたのだという。

新築を選んだことについて岡さんは「改修・新築どちらでも、快適な家にはできると思いましたが、今回は新築にしたほうが、両親にとって『自分達の家』という愛着をもって住んでもらえると思ったのです」と語る。

豊かな自然が持つパワーを室内に取り込む ガラスの欄間が巡る家

山口県岩国市 / 下田布施の家

美しい田園風景が広がる田布施町。恵まれた自然が持つエネルギーが、家の中で満ち溢れるような家にしたいと考えた西本さんは、内部と外部が繋がる開放的なプランを提案。外壁を巡るガラス張りの欄間など、外観からして大胆なデザインとなったが、スタディ模型を製作しコンセプトを説明した。Mさま夫妻は「このプランが実際にどんな家になるのかすごく楽しみ」と、とても気に入ってくださったとのこと。

敷地は南北に細長く、東側に母屋、西側は隣家が迫っている。ただ、西側の隣家は家の敷地よりも低い場所に立つ平屋であり、また、南に位置する道路も敷地の一段下を走っている。しかも、道路はMさま家族以外で通る人がほとんどいない。

そこで西本さんは、外部からの目隠しの壁は道行く人や隣家、母屋から視線を遮ることができる程度とし、開放感や外とつながる心地よさを優先。道路に面する南側にLDKとテラスを設け、邸内の欄間はガラス張りとした。さらに、LDKとテラスの仕切りはガラス、目隠しの壁はテラスと室内で同じものを用いて連続性を持たせている。おかげで外と中の境界線があいまいになり、開放的で気持ちよく過ごせる空間ができた。

深い軒が生み出すコミュニケーションと 庭の景色を楽しむ唯一無二の家

島根県江津市 / WAKI H

ある日突然、「ぜひ依頼したい案件がある」と連絡が入った高橋さん。連絡をしてきた工務店は、これまでに仕事の付き合いがあったわけでもなく、コンペの参加への打診でもなかったという。いわばご指名での依頼に高橋さんは「とてもレアなケースなので驚きました」と語る。

しかし、高橋さんが過去に手掛けた建築をみれば、それほど驚くことではないことがわかる。高橋さんの建築は、デザインの美しさはもとより、光の取り込み方・照らし方が秀逸で、ずっとここに佇んでいたいと思わせる空間なのだ。だからこそ、これまで3軒ほど家を建ててきた経験があり、ある意味目の肥えた客といえるMさんのお眼鏡にもかなったのだろう。

斜めのリビングと広いテラスで居心地抜群。 熱環境も快適な自然素材の家

鳥取県 / 赤碕の家

S邸では土地探しから伴走し、Sさまは琴浦町内の新たな分譲地に家を建てることを決定。「木や自然を感じられる家が好き」「子どもにはたくさん外遊びをさせたい」。そう考えていたSさまのために2人がつくり上げたのは、漆喰や無垢材などの自然素材を贅沢に使った2階建ての家だった。

明るいベージュ色のそとん壁(自然素材の外壁材)や木製ルーバーなど、ナチュラルな素材感が引き立つ外観も魅力だが、邸内に入ると想像以上に居心地のよい空間が迎えてくれる。その秘密は、リビングに施されたちょっとした仕掛けにある。2人がどんなアイデアで居心地のよさを生んだのか、詳しくご紹介していこう。

「こと」をテーマに空間をデザイン それぞれの「世界観」をカタチに

岡山県岡山市 / 北方の家

「自分が本当につくりたいものは何だろうって考えた」とき、つくってる間も楽しいし、つくった後もそこで人が喜んでたり、生活をして楽しんでいるシーンが好きなんだということに気付いたという。
「結局、“ことづくり”が好きなんですよ、僕は。言い換えると、人が活躍できる環境や空間(=こと)をつくることに興味があるんですね。最初から家をつくるんだって決めつけてしまうと、間取りはどうだとか、何LDKだとかになる。でも、要するにそれは箱でしかありません。僕はそういう箱ではなくて、家族でいる時間帯に、どんな行動をするか、どう過ごすかというところから空間をつくっていく方がよっぽどいい結果、いいカタチになると思っています。そのカタチを“家”と言うのでれば、“家”って呼んでもらっていいですよ、ぐらいの感覚なんですよ」。

「家=もの」ではなく、日々の生活をビビッドに彩る「できごと=こと」に寄り添った空間づくりこそ、佐藤さんが最も大切にしていること。それだけに、独り立ちして会社を設立する際も、社名に「建築設計事務所」という文字は絶対に入れたくなかったと。今の社名にある「たてこと」という言葉は、「建てることを通じた、ことづくり」との想いをこめて自身がつくった造語だ。「2050年までに広辞苑に載せてやろうとわりと本気で思っています。名刺の裏にも広辞苑風に『たてこと』の説明文を書いています」と目を細める。

モルタル仕上げで際立つ造形の美しさ。 まるで美術館のような木造住宅

岡山県備前市 / GRIS-栄町の家

Kさま夫妻が望んでいたのは、「美術館のような佇まいの、住宅らしさがない家」。資料として香山さんに見せた写真もRC造の建物が多かったが、予算の関係もありRC造で家をつくることは難しかった。そこで香山さんが提案したのは構造を木造とし、モルタル仕上げを施すこと。これなら、RC造が持つ壁面の雰囲気を出しながら予算内に収められる。

ヒアリングを通してご夫妻が家のフォルムにもはっきりとしたイメージをお持ちだと理解できたことから、造形美にもこだわったという。ファサードは右から壁面が覆いかぶさるように張り出したデザインで、エッジの効いた姿をしている。2階はすっぽり壁に覆われているが、張り出した部分の裏には、実はベランダがある。張り出した壁面による三角形のスペースに長方形のベランダを配置して壁面との間に隙間をつくり、光を下に落とした。壁面が平面ではないからこそ、ベランダを抜けた光や正面からの光から生まれた影にもキレがある。