土足で入れる便利さから、日本家屋でよく利用されてきた「土間」。
かつての「暗い」「寒い」というイメージは、今はもうなく、
内と外の空間をつなぎ、暮らし方の幅を広げるスペースとして注目されています。
薪ストーブを置いたり、自転車をディスプレイしたりと、使い方は無限。
そんな、多彩な用途をもつ機能性と、空間にゆとりを与えてくれる
「土間」のある暮らしにこだわった住まいをご紹介します。
埼玉県川口市 / T邸
完成したT邸で最も個性的かつ魅力的なスペースは、1階の土間だろう。ご夫妻とお子さま1人という3人家族のTさまは、キャンプなどのアウトドアが大好きなご一家。そのため、事前の会話の中で「アウトドアグッズを収納できる土間があったらいいよね」といった話が出てきたのだ。新潟県 / H邸
通り土間はリビングのようにも使え、「土間リビング」と呼んでいる。堀井さんが「家の中でも外部が感じられるようにしました」と言うように、道路に面した辺は大きな掃き出し窓が連なり、上には天窓があるので明るく、また空もよく見える。使い方はフレキシブル。庭の鉢植えの冬の避難場所になったり、趣味の自転車を飾ったりするほかに、置かれたソファでくつろぐこともできる。土間リビングがあることで、家の中でできることの可能性がぐっと広がっているのだ。長い冬だけでなく、雨が降ったりして一日を室内で過ごさなくてはならないことは意外に多い。そんなときでも、のびのびと開放感を感じながら暮らせるのは嬉しいだろう。東京都 / S邸
「この人なら、自分の希望をしっかりと叶えてくれる気がする」。そう思い、幸地さんに家づくりを依頼したというSさん。設計時点でまず要望したのは、子どもの遊び場や接客スペースも兼ねた広いエントランスとセカンドリビングと、空を眺めることができる南向きのリビング。そして、敷地の不整形部分も最大限に生かした外観という3点だった。東京都町田市 / S邸
Sさん邸の扉を開くと眼前にリビングが広がる。玄関は独立したスペースではなく、ソファー部分まで続く土間のようなしつらえになっている。これは、公園の景色が家の中まで続いているかのような雰囲気を出す、インナーテラスという考え方だ。東京都練馬区 / O邸
敷地面積が約100㎡と決してスペースが贅沢にあるわけでなく、加えて風致地区にあり制限も多い中で建てられた小山田邸。できるだけ無駄を省くことを考え、廊下を無くし、部屋と部屋を壁面で区切るシンプルな間取りになった。