住まいを計画する上で、リビングの配置はとても重要。日当たりや眺望のよさ、居心地の良さ、プライバシーの保護など、叶えたい要望は多岐にわたります。ここでは、敢えてリビングを2階に配置することで、住まう人のさまざまな要望を叶えた魅力的かつ機能的な事例を紹介いたします。ぜひみなさまの自分らしい住まいづくりの参考にしてください。
日常の風景だった竹林が特別な景色に。
程よく遮り、程よく繋がる快適空間の秘密
愛知県新城市
普通の住宅では見られない景色、さらに将来も変わることはないだろう竹林の風景を生かさなければもったいないと感じた2人。まず、2階に上がる階段があるエントランスホールの、竹林側の壁面を大きく開口した。玄関に入った途端に竹林の生命感が存分に感じられ、息をのむこともあるだろう。
2階の生活空間は景色とワンセットとなるように計画したという。竹林からその向こうの山並みまでが見渡せるキッチンの窓や、竹林がみずみずしく切り取られた和室の窓は印象的で、まるで絵画のようにも感じられる。脱衣室や浴室も大胆に開口。2階にあるため視線も気にならず、開放的な気分で竹林の眺めを楽しみながらゆったりとした時間が過ごせる。
外と内の境界を感じさせず、地域の人にも喜ばれる家を
岐阜県岐阜市 / K邸
実際に住まうK様ご家族が暮らしやすいよう、採光性や通風性、動線にも配慮。1階の和室からダイニング・キッチン、洗面室、脱衣室までや、スキップフロアから繋がるデッキ、リビング、2階の廊下、寝室、バルコニーまでを一直線に配置。行き止まりをなくして、外へと抜ける広がりや開放感を演出、光も空間全体に行き渡りやすくしている。さらに、2階の廊下には開閉式のトップライトを配することで、外光をより取り込めるように設計。
また、リビング側にある2階洋室には、大きな窓をはめこみ、吹き抜けを通して1階までを見下ろせる。「ここに大きな開口部を設けておけば、将来、お子さんが独立して、リノベーションをしようと思ったときに、ガラス外して空間をつなげるなど、いろいろなアレンジが可能になります」と、将来的な間取りの可変性も意識した。
まちに開かれた1階、家族のための2階。 周辺環境をも豊かにする、オセロハウス
大阪府高槻市 / オセロハウス
昔ながらの住宅街の一角に、ぱっと明るい佇まいの家がある。周辺には石塀に囲まれた家が多い中、角地にあるその家は塀もなくオープンな雰囲気。昼間には近所の子どもたちがどこからともなく集まってきて、わいわい遊んでいる様子もうかがえる。
設計した株式会社 中西正佳建築設計事務所の中西正佳さんは、この外観からして魅力にあふれた家を「オセロハウス」と名付けた。その理由は、一般的な住宅とは生活空間の配置が逆になっているため。昔ながらの家が連なる住宅街では、LDKが1階に設けられていることが多いという。しかしオセロハウスではLDKを2階に上げ、1階は寝室のみを配置したのだ。屋内の構造を逆転すると、その場所で過ごす時間帯も同じように逆転する。この辺りは住宅が密集しているが、周辺の家が1階で生活している時間帯は2階で過ごすため、外部からの視線なども気にならず開放的に暮らせるという。
建てる前に知っておきたい!「本当に快適な家」のつくり方
神奈川県藤沢市 / C邸
「C様は天井が高い大きなリビングをご希望でしたが、使い勝手を考えると、個室や収納も必要です」と関さん。しかし天井高の大きなLDKをベースにプランニングすると、予算とのバランスがとりにくい。そこで関さんが提案したのが、半階ずつ床の高さが上がるスキップフロアの家だった。
C邸は玄関を入ると正面に階段。右手には子ども部屋とトイレ、左手にはマリンスポーツの道具を置くスペースと半地下の大きな収納がある。そして階段で半階上がった左手に洗面室とバスルーム。踊り場で階段を折り返してさらに半階上がると広々したLDK。LDKからさらに少しだけ階段を上がると個室があり、その横にはウォークインクローゼットもある。
開放感抜群の、壁が少ない木造住宅。 SE構法が実現した、内部と外部が繋がる家
東京都国分寺市 / I邸
何よりもの魅力である眺望を生かすべく、主な生活空間は2階に集めた。1階から2階に上がると、開放感があり外から見た印象よりも背の高い家に感じられる。「2階をより気持ちのいい広々とした空間にするために、1階の天井を下げ、さらに2階は天井を張らず、構造材を見せる仕上げにしたことでぐっと高くしました」と井水さん。
キッチン・ダイニングと和室がひと続きになった2階は、広々とした和室をリビング的に使用できる間取り。SE構法を用いたおかげで空間を遮る柱がなく、また空間の仕切り壁を設けた場所も、天井と壁の間に隙間が空いていることから、2階全体が一つの天井の下に収まり、一体感がある。つまり、浴室から和室まで、それぞれ壁や引き戸で区切られてはいるものの、視線が抜けるので圧迫感がないのだ。
もみじというキーワードから大きく成長
機能性、物語性を実現させた匠の技
神奈川県横浜市 / ふたつの木の家
バルコニーには、一部に特殊な樹脂でできた半透明のグレーチングが設けられており、そこをもみじが貫いている。半透明のため、夜になると根元に設置された照明がもみじを浮かび上がらせるばかりでなく、バルコニーをも明るく照らすのだ。さらにはバルコニーの天井にグレーチングの影が美しく投影されるというオマケまでついてきた。
このアイデアにより、単なる庭木とバルコニーに過ぎなかったものが、部屋にいながらにして四季の自然ともみじの成長も感じられる場となった。
もう1つのシンボルツリーは室内にある。2階に上がり、広いリビングにたどり着くと、目線の先に木製の大きな木のオブジェがそびえ立っている。実はこの木、本棚となっており、数多くの本を収蔵することができる。このツリーは裏側にLED照明が内蔵されており、その存在を際立たせるだけでなく、リビングを明るく照らす間接照明としての役割をも果たしているという。
土間が暮らしに広がりを生む2階リビングの住まい
愛知県名古屋市 / S邸
「この屋根には、いわゆる棟木というものが存在していません。棟木というのは屋根の棟を支える水平の部材です。棟木をなくして、両側から梁と梁を合掌するように合わせ、タイバーという鉄筋でつなぎ、梁どうしが広がらないよう抑えています。そうすることで、木造でも広々と開放的な空間ができるんです」と道家さん。切妻の屋根をそのまま活かした天井は高く広がりがあり、トップライトから光が降り注ぐ。梁や天井に用いた構造用合板も、木目が透ける自然塗料で仕上げ、あえて見せる造りとしている。
施主のSさんご夫婦がこだわったのが、2階の中心に配置されたダイニングテーブルと一体となったアイランド型のキッチン。座って食事するダイニングと、立って料理するキッチンの床の高さを変えることで、長さ約4.5mものフラットで大きなダイニングテーブル&キッチンを作り上げた。