壁一面、備え付け本棚のある家特集

「本が大好き」「本に囲まれた生活をしたい」そんな施主の想いを形にした、壁一面の、備え付け本棚のある家をこちらの特集では紹介します。

書籍や雑誌をこよなく愛している人にとって、本棚は決して単なる収納ではありません。大切なものを格納して、魅せて、使い勝手をよくするもの。
そう、住空間の中で、本棚をどのような造りにするかによって、家全体の空気感が変わります。
ぜひみなさまの住まいづくりの参考にしてください。

リビングの壁には、天井近くまで続く本棚。まるで図書館のよう。

兵庫県芦屋市 / 芦屋の家 

邸内に入りリビングに出ると、大きな窓の先に樹々の緑が映える中庭が広がる。吹き抜けの天井と相まって、とても開放的な空間だ。中庭をぐるりと取り囲むようにデッキが伸び、窓を開けると、中と外が1つになったように感じられる寛ぎの空間。彩りを変える庭の木々は、家族に季節感を与えるとともに、訪れた人をもてなす絵画のようでもある。また、隣家からの視線や夏の太陽を適度に遮るという役割をも果たしている。

ふと背後に目をやると、壁一面に大きな本棚が。まるで海外の図書館のような雰囲気だ。天井近くまで届くほどの圧巻のスケールだが、意外なほど圧迫感はない。それは、天井部分やサイドに適度に開口が設けられ、外光を巧みに取り込んでいるからなのだろう。

壁面の本棚は収納力抜群。山桜を用いたカウンター

埼玉県日高市 / 音がつなぐ家

木の温もりが存分に感じられる室内は、2 階までの吹き抜けによって開放的な部分がある一 方で天井が低めに計画されている箇所もあり、メリハリがきいている。また家の中からの抜 け感をもたらすため、窓は景色がよい方角の、特に目線が遠くまで伸びる場所に計画した。2 階には書斎を設けた。2 畳ほどの小さなスペースだが、片側の壁面に本棚を設け O さまが 望む量の書籍を収められるようにした。また、幅いっぱいに造作したカウンターのおかげで、 パソコンやプリンターなど仕事で使うものも余裕をもって置ける。作業することを見越し て、コンセントが多めに用意されているのも心憎い。

高い天井や大きな窓がもたらす開放感、木のぬくもりがもたらす落ち着きが心地よいリビング。

東京都町田市 / S邸

Sさん邸の扉を開くと眼前にリビングが広がる。玄関は独立したスペースではなく、ソファー部分まで続く土間のようなしつらえになっている。これは、公園の景色が家の中まで続いているかのような雰囲気を出す、インナーテラスという考え方だ。
一歩足を踏み入れると、奥様のリクエストだという壁一面の本棚に目を奪われる。高い天井まであるその本棚は、インナーテラスと相まって、ヨーロッパの古書店を思い起こさせる。

そしてその本棚には大きく開けられた窓があり、眼前の公園の景色が取り込まれているかのようだ。春にはここから公園の桜が見え、あたかも本棚に桜の絵が飾られたような様相を呈する。そして夏には月を秋には落葉をそして冬には雪をと、四季折々の景色を楽しめるのだ。

本棚のある階段で、ゆったり自分時間 ほどよい距離感が心地よい住まい

東京都三鷹市 / M邸

お子さまが小学校に上がるタイミングで家づくりを計画したMさまご夫妻。住まいに対する要望は、「子どもが自室に行くまでに家族とコミュニケーションできる動線」「家族の気配を感じながら、好きなことをしてくつろげる広いリビング」「書庫や畳スペースがあり、好きな場所で本を読んだり、ゴロゴロしたりできる家」というもの。ほか、駐車場も欲しいなどのリクエストもあったが、東京の住宅街にある敷地は約23坪で決して広いとはいえなかった。

リノベーションした室内全景。可動本棚を小上がり奥に動かし、最も広い空間にした状態。横

東京都杉並区 / K邸

「面積」×「高さ」×「時間」の設計で、空間はもっと豊かになる
 既成概念にとらわれない柔軟な発想と遊び心のある設計で、個性的な住まいを求める人々から高い評価を寄せられている久保さん。DINKSである自分と妻のために杉並区の古いマンションを購入したのは、2003年のことだ。

 「当初は純粋な住まいとして使っていましたが、事務所を兼ねることになり、2009年にリノベーションを行いました。その際、妻から『リビングを広く取る』『収納を増やす』『部屋数を増やす』という、まったく矛盾した要望を突き付けられた。

コンパクトなのにゆとりある空間の秘密は 螺旋階段と個性的な大容量収納

静岡県静岡市 / I邸

螺旋シェルフを見たとき、どこかで見たことがあるような気がしたという人は多いことだろう。それもそのはず、この木製の棚は人気食材店の“カルディコーヒーファーム(以下、カルディ)”の店内に張り巡らされている棚がモデルになっている。

「カルディのような棚が欲しいというのは、I様の大きなご要望のひとつでした。何店舗かに出向いて分析したところ、特徴となるのは『ものが雑多に置かれていてもそれが楽し気な感じ』と、『曲線を生かしながらオープンにつくっている』ことだと感じました」と戸川さん。特に曲線がキーになると考え、もともと設置を決めていた螺旋階段と組み合わせることにしたのだという。