「長期の余暇を過ごす」だけではない。
「ワーケーションの場として」「週末や日常を楽しむ空間として」
「シェアするツール」に進歩しつつある
かつては、都心部に居住しながら、長期の余暇を過ごすための存在だった「別荘」が、昨今、その利用方法や目的が大きく変化しつつあります。むしろ、今や、ワーケーション(リゾートテレワーク)の場となり、日常生活を彩る場となりつつあります。 場所にも時間にも縛られない自由な生活を求める方々にとって、「別荘」は新しい時代の暮らしに相応しい空間になりつつあります。
この特集では、様々な用途に応えてくれる「別荘」をご紹介します。 ぜひ皆様の住まいづくりの参考にしてください。
天空の別荘地で気分転換
願いを叶えたリフレッシュ空間
静岡県三島市 / 芦ノ湖高原の家
別荘でチャレンジしたいことや理想の過ごし方を細かにヒアリングすると、「なにはともあれワクワク感が満載でなければ」「寄り道感覚で家の中を動ける、居所がたくさんある別荘にしよう」「どこにいても五感の全てで心地よさを感じたい」という方向性が見えてきた。それらを「風」と「抜け」というキーワードに落とし込んで間取りに盛り込み、演出することにしたのだという。
濃密なコミュニケーションによるプロセスを経て米村さんがつくりあげた別荘は満足度の高いものになり、夫妻はとても喜んでくださったという。要望が叶えられたことはもちろん、こだわりや生活スタイルをしっかりと見極めたおかげで、これからの過ごし方が楽しみになる別荘ができたからだ。
難しい敷地条件を生かし居心地のよさを向上
美しい海を眺めながら暮らす、週末住宅
和歌山県西牟婁郡白浜町 / 白浜町の家
LDKが開放的で気持ちよく過ごせる空間になった秘密は、床のレベルを変え緩やかに領域を区切っていることだという。「単純に広いだけでは、使いにくい空間になってしまいます。ほっと落ち着けるような拠り所をつくることが大切」と語る2人。同様に、構造的に必要だったキッチンとダイニングの間の柱もエリアを感覚的に分ける役割を果たしており、それぞれの場所で落ち着いて過ごすことができる。
一方で、領域を分断しすぎないことにも心を配ったという。キッチンではダイニング側に設けられたコンロの上にレンジフードを設置せず、下から吸い込んで排気できるようにした。ワークトップから天井までに遮るものがなく、一続きのLDK空間をより強く印象付けている。
「今は別荘、いつかは本宅」もアリ。
省エネで冬も暖かい、軽井沢のモダン別荘
長野県北佐久郡軽井沢町 / アルペジオ南ヶ丘
夏は、酷暑の都会から逃げて軽井沢で過ごしたい──。そう願う人は多い。加えて、テレワークなど昨今のワークスタイルの変化も影響し、「秋冬も軽井沢に長期滞在したい」「将来的な移住も視野に入れ、軽井沢に家が欲しい」。そう考える人も増えてきた。
建築家の奥野公章さんが設計したこの家は、そんな新たなニーズにも応える軽井沢の建売別荘。テーマは「春夏秋冬、年間通して心地よく住める家」。冬の寒さが厳しい軽井沢で快適な住宅をつくるには、熱環境をととのえることが不可欠だ。そこで建売をプランニングしたクライアントは、パッシブデザインの住宅に造詣が深い奥野さんに設計を託したのである。
那須の爽やかな景色と暮らし、冬も快適。
十字に重なるモダン邸宅
栃木県那須町 / 那須の家
御用邸や温泉があり、山々の清爽な眺めに恵まれた国内有数の別荘地・那須。けれど那須の小高い丘の上に立つこの家は、完全な別荘というわけではない。
施主さまご家族は東京にお住まいだが、職場があるのは那須近郊。週末は東京に戻り、長期休暇はご家族やご両親とともにこの家で過ごす──そんな使い方をイメージした、いわばセカンドハウスである。
白浜の絶景を開放感に満ちた別荘で楽しむ。
インパクトある建物は宿泊施設としても成功
和歌山県西牟婁郡白浜町 / テラス・ヴィラ・癒穏.PJ
素材選びも設計も、オーナーとともに。
環境に馴染みながら、インパクトある別荘
日本有数のリゾート地、和歌山県白浜町にある「テラス・ヴィラ・癒穏.PJ」は最近人気の1棟貸し切りの宿泊施設だ。オーナーのSさまは旅行会社を経営。1棟貸しの貸別荘経営にも興味があったことから、Sさまの別荘を兼ねて計画した。当初はSさまが利用しないときに宿泊施設として稼働できればいいという程度で考えていたが、オープン直後から話題が話題を呼び、すぐに人気の施設となった。
光、風、音を感じながら、
自然と共に暮らす森の中の別荘
長野県軽井沢町 / 軽井沢の別荘
室内外がシームレスにつながり
自然と一体となる大空間
「ダイナミックな空間による開放感」と「コンパクトにまとめ利便性を高く」といった、相反する要素を田辺さんは、BOX in BOXという手法で、見事に両立させてみせた。
結果として「環境と空間がとても気持ちよく、暮らしやすい」とOさんご夫妻も大満足され、今ではこの別荘が終の棲家に変わったのだという。