抜群の開放感「吹き抜け」がある住まい特集_VOL.2

住まいを新たにお考えの方には、「お互いの気配を感じていたい」「自然光をふんだんに取り入れて明るい住まいにしたい」「開放感のある洗練された空間にしたい」といったご希望をお持ちの方は数多くいます。
限られたスペースの中で、これらの希望を叶える一つの方法として「吹き抜け」が注目されています。
ここでは、そんな「吹き抜け」を最大限に活かした、住まいを紹介します。
ぜひみなさまの自分らしい住まいづくりの参考にしてください。

明るく心地よく、家族の繋がりも感じられる 吹き抜けが印象的な大空間のLDK

熊本県菊池郡 / 武蔵丘の家

「武蔵丘の家」の大きなボリュームの部分は、2階までの吹き抜け空間となっている。1階にLDKと和室、2階に寝室と子ども部屋を配置した。階段や2階の廊下部分は壁面ではなく手すりとし、現在はネットを張っている。「手すりに横桟や縦桟が多いと、どうしても空間が分断されてしまいます。とはいえ今はお子さまが小さいので、安全確保のためにネットを張りました。落下の心配がなくなったらネットを外せば、もっとすっきりとした空間になります」と大谷さん。現在も、細いラインのネットはほぼ視線を邪魔することがないため、大きなひとつの空間と感じられてとても開放的だ。

明るい空間での暮らしを要望されたことから、基調は白とした。ただ、白一色だと冷たい印象も出てきてしまう。そこで、構造材を見せて温もりをプラス。また、リビングエリアは無垢のフローリング材を採用し、寛ぐのにふさわしい場をつくりあげた。

高コストの要素もあきらめることなく バランスの取れたコストダウンで実現する

岐阜県瑞穂市 / 穂積の住宅

プランニングの要はやはり眺望。敷地の南側に広がる景色を楽しむためには田園に対して横長に建物を配置することが一般的だが、この「穂積の住宅」は田んぼに向かって階段状に3つのボリュームが繋がった縦長のフォルムをしている。家は2階建てで、中心のボリュームは2階まで吹き抜けのホール。両側のブロックは、1階北側には水回りを、南側にはキッチンを設け、それぞれの2階は個室とした。また、2階の個室は吹き抜けに向かって開口できるように計画されており、戸を開ければ家全体がワンルームのようになる。

その理由を「単純に景色が見えるというだけでは、単調で飽きてしまいます」と語る北村さん。生活の様子の先に田園風景が広がるようにしたかったとのこと。なるほど、北側のブロックに配置された玄関から室内に入り、ホールへと向くと高さいっぱいに開口した窓からはもちろん、キッチンや2階の主寝室の窓からも田んぼや空が見える。さらには、ホールとキッチンを階段状にずらして計画したことによってできた庭越しに景色を眺めることもでき、同じ場所からでもさまざまな雰囲気で眺望を楽しめるのだ。

大勢の懇親も、家族の団欒も 内外2つのシンメトリーなLDKがある家

大阪府堺市 / Ta house

室内に歩を進めると、目の前に広がるのが50畳もの広さのある、LDKの大空間。リビング部分の上部が吹き抜けとなっており、高さからくる開放感も感じられる。また、視線の先には、掃き出し窓が連なり、広々とした中庭が現れる。この中庭にも、テーブルやソファーが置かれ、まさにアウトドアリビング。この光景をみたゲストは、きっと「おおー」と感嘆の声を発するに違いない。

「この中庭は、LDKとシンメトリーな設計としています。窓を開け放つと100畳の大空間となるんです」と市井さん。よく見ると、中庭の奥にもキッチンが据えられており、内と外2つのLDKになっているのだ。中庭のある家は数多あれど、ここまで広くさらに内と外に2つのLDKが鏡写しのようになっている家は、日本広しとはいえここにしかないだろう。

ワンルームのような1階と2階を吹き抜けや スケルトン階段で繋ぎ、風や光を家中に

佐賀県佐賀市 / 佐賀の家

湊さんが提案したのは、通り土間がある家だ。仕切りや家具を最低限に抑えてワンルームのように計画したLDKや、隣接する和室と土間が一体となり、それぞれのエリアが拡張されて広々感じられる。さらに土間部分は2階までの吹き抜けとし、家の全体が緩やかに繋がった。実際の面積以上に広く感じられるのは、視線が吹き抜け部分から上に伸びるだけでなく、土間を挟んだ反対側に設けた縁側を通って庭にも抜けるため解放感が得られるからだ。

要望のひとつだった、くつろげる空間も充実させた。居場所が豊富にあることで、気持ちや時間帯に合わせて思い思いに過ごせる場所を発見できるようにしたという。

敷地に対し斜めの動線で眺望を確保 大胆な発想で実現した美しく暮らしやすい家

兵庫県 神戸市 / 縒り合う家

生活の中心となるのは、プライバシーを守りやすい南西側の1階に、2階までの吹き抜けで計画したLDKだ。天井が高く開放感にあふれているうえ、テラスに続く大きな窓を設け、室内から庭や公園の緑を眺められるようにした。テラスの上はアウトドアラウンジがあり、1階から連続するように壁一面を大きく開口している。おかげで1階のLDKからは空に視線が抜けるようになった。

もう1つ、家族で過ごす場所がある。LDKからの階段を上がったところにあるスタディーリビングは、家族で一緒に本を読んだり、語り合ったりするための場所が欲しいというご要望から計画した。壁面いっぱいに本棚を備え付け、絵本や子ども向けの本と、ご夫妻の蔵書が同じ場所に収められるようにしたという。「お子さまが大きくなって、ご両親の本を手に取られたら、世界が広がって素敵ですよね」と石さん。

地元の穏やかな景色とつながる開放空間。 「ここで暮らす幸せ」を実感できる家

滋賀県栗東市 / 畝の家

「人が集まることができる広いリビング・ダイニング」「木のインテリア」「家族の様子がわかる造り」といったSさまの要望を受けて完成したのは、木造2階建てののびやかな住まい。1階は広々としたLDK、2階には将来の子ども室としてつくった個室や主寝室が並び、2つのフロアは大きな吹抜けでつながっている。

天井の高い吹抜けのLDKは、東の庭に面した大窓から明るい光が入る開放空間。要望に応えて木の表情を生かした内装もナチュラルで気取りがなく、とても居心地がいい。一方で、板材の継ぎ目や2階の手すりは真鍮で丁寧にデザインするなど、ディテールにこだわった品の良い美しさも。シンプルだが上質感があり、真鍮の風合いが増す経年変化も楽しみな空間だ。

明暗と空間にメリハリを 店舗のような落ち着きのある黒い家

大阪府 / 二棟横並びの住宅 黒い家

Y邸の玄関は、共有のエントランス手前にある。玄関を入ると目の前には大きな植栽が。植栽が「いらっしゃいませ」と出迎えてくれるかのようで、店舗感をもたらす演出の1つだ。植栽の縁はベンチのようになっており、靴を履くときに腰掛けたり、外で遊んだお子さんがちょっと休憩するのにも役立つ。

また、玄関部分は吹き抜けとなっており、上部からの光や玄関脇のガラスからの光で植栽が成長できる設計だ。

廊下をLDKへと進むと、一気に視界が開ける。2階まで吹き抜けになっている大空間は、上下の大きな窓から光がたっぷり降り注ぐ。北西側であるため直射日光ではないものの、しっかりと明るさをもたらしている。眼前にスケルトン階段が鎮座している様は、白い家との共通点といえるだろう。