「長期の余暇を過ごす」だけではない。
「ワーケーションの場として」「週末や日常を楽しむ空間として」
「シェアするツール」に進歩しつつある
かつては、都心部に居住しながら、長期の余暇を過ごすための存在だった「別荘」が、昨今、その利用方法や目的が大きく変化しつつあります。
むしろ、今や、ワーケーション(リゾートテレワーク)の場となり、日常生活を彩る場となりつつあります。
場所にも時間にも縛られない自由な生活を求める方々にとって、「別荘」は新しい時代の暮らしに相応しい空間になりつつあります。
この特集では、様々な用途に応えてくれる「別荘」をご紹介します。
ぜひ皆様の住まいづくりの参考にしてください。
閉じた外観からは想像できない空間がそこに
非日常の驚きと寛ぎが体験できる別荘
千葉県富津市 / Villa Lix
都心から車で約1時間半。海水浴に釣りや潮干狩りも楽しめ、南房総のレジャー施設へのアクセスも良好な自然環境に恵まれた富津市にその建物はある。赤茶色に塗られたテラコッタ風の壁には窓がなく、中の様子が全く分からない。美術館やレストランのようにも感じられるこの建物は実は個人の別荘Villa Lixなのだという。
この建物の施主であるNさんは、バイクでのツーリングを趣味としていた。Nさんは週末に都会の喧騒を離れ1人でのんびりと過ごしたり、仲間と集まれる拠点として、都心から2時間圏内での別荘を持ちたいと思っていたという。そんな話をバイク仲間でもある、建築家の関 ⾥佳⼈さんに相談したことから、このプロジェクトは始まった。
リビングの中にお風呂? 海外のヴィラのようなバスルーム
千葉県長生郡一宮町 / M邸
初めてこの別荘を訪れた人はその光景に驚き、きっとこんなことを思うだろう。「あ!リビングにお風呂がある!」と。
三方に大きく取られた窓からは太陽の光が降り注ぎ、明るく開放的な空間。テレビやミニキッチンもあるこの部屋には、ソファーやテーブル、スツールなど品の良い家具とともに、透き通るような白さと柔らかなフォルムが美しい浴槽が置かれている。リビングにお風呂を設えたのだと思うのも無理はないが、実はこの部屋はバスルームなのだ。
九十九里浜の南部、千葉県長生郡一宮町。日本屈指のサーフタウンとして名高いこの町は、東京オリンピックの会場となっている釣ヶ崎海岸を有する。その海岸からほど近くに別荘を有しているのが、施主のMさん。Mさんもこの聖地の波に魅せられたサーファーの1人だ。Mさんは普段は都内で勤務し、住居も都内に構えているものの、趣味のサーフィンが高じ、数年前にこの地に別荘を購入。週末や休日のサーフィンライフを楽しんでいたが、さらなる充実を図るため隣地を購入したのに伴い、お風呂場の増築を考えたのだという。
難しい敷地条件を生かし居心地のよさを向上
美しい海を眺めながら暮らす、週末住宅
和歌山県西牟婁郡白浜町 / 白浜町の家
公園や観光名所など見どころが多く、自然も豊か。さらには温泉も楽しめると、日本きってのリゾートタウンのひとつとして知られる和歌山県白浜町。その白浜町の中でも、素晴らしい海の景観を享受できる場所に「白浜町の家」はある。お施主さま夫妻より建て替えを依頼されたのは、岸本姫野建築設計事務所の岸本将太さんと姫野友哉さんだ。
宿泊施設として、本棟と4棟の独立した小さな宿泊棟で構成されていたという以前の建物。日常で住まうわけではない週末住宅のため、お施主さまもしばらくの間はそのまま使用されていたのだとか。しかし、トイレに行くにも一度外に出なくてはならない、湿気がすごいなど気になる点もあり、老朽化も進んだことから建て替えに踏み切ったという。普段の週末は夫婦おふたりで過ごし、長期休暇のときにはお子さまたちとそのご家族など10人程度の人数になっても対応できる家をつくることになった。
緑豊かな八ヶ岳の自然の中に佇む
家族が集うファミリーハウス
山梨県北杜市 / Villa八ヶ岳
山梨県北杜市、八ヶ岳南麓の別荘地にその家は佇む。樹々の彩りと調和した建物は、住まう人、訪れた人に安らぎと落ち着きを与えてくれるに違いない。そう思わせる建物をつくったのは、対話を通じ施主とじっくりと向き合い、要望を的確に捉え、自然環境とマッチした建物をつくることに定評のある建築設計SOOの服部さん。
施主であるIさんご夫妻は、高知県在住。長年、海のある町で暮らし「山の暮らし」に憧れを持ち続けていたのだとか。また、子どもたちも独立して東京で家庭をもち、孫もできた。いつしか、家族が集うのは高知だけでなく、東京ということも多くなってきたのだいう。
東京では、なかなか家族全員が集まり、気兼ねなくのんびりと過ごせる場所を見つけるのは難しい。であるならば、東京からもそれほど遠くなく、山の暮らしが実現できる場所に別荘を建て、将来的には夫婦で移住することもできる、そんな家を建てようと考えたのだという。
光、風、音を感じながら、
自然と共に暮らす森の中の別荘
長野県軽井沢町 / 軽井沢の別荘
建築当時、施主のOさんご夫妻は愛知県在住。湿度が高く暑い夏を、風通しがよく涼しい場所で気持ちよく過ごしたいとの思いで、長野県軽井沢の別荘地に土地を購入されたのだという。
田辺さんが建築において最も大切にしていることの1つに、「自然の力を利用する」といったものがある。太陽からの日差し、木立がつくる陰、そよぐ風といった自然環境を上手に取り込んで、快適な暮らしを実現するという、いわゆる「パッシブデザイン」の考えだ。たとえば夏の高い日差しは遮り、冬場の低い陽光は室内に差し込むよう、屋根の角度や軒の張り出しを計算する。室内に風の通り道ができるよう、窓の配置を工夫するといったもの。
住宅の採光や通風に自然の力を上手く利用するという考えは、冷暖房機器や高気密・高断熱といったテクノロジーが発達する前の日本の家屋では、ごく当たり前に行われてきたこと。そんな日本人のDNAに組み込まれているであろう、自然と共にある住宅は、現代のテクノロジーと融合することで、住宅としての快適さはもとより、心落ち着くものとなるのだ。
家族やペット・友人との寛ぎやテレワークも
自然豊かな場所に佇む上質セカンドハウス
滋賀県 / マキノセカンドハウス
かつて日本でも珍しいカタカナ表記のマキノ町として知られていた滋賀県高島市マキノ。北は福井県、南西は琵琶湖に接したこの町は、春には桜、夏にはビーチ、秋にはメタセコイア並木、冬にはスキーなど、四季折々の自然を楽しめる場所。
キャンピングカーで日本全国を出張や旅行していたAさん。車の買い替えを機にセカンドハウスの拠点として選んだのが、同じ滋賀県内のご自宅から約1時間半のほどよい距離にある自然環境豊かなこの場所でした。
当初、地元の工務店にプランニングをしてもらったAさん、満足のいくプランが出ずに悩んでいたところ、知人より紹介を受けたのが、「顧客の想いを形にする」ことに定評があり、別荘を手掛けた経験も豊富な建築家、ef設計の木下さんでした。