日本人に古くから親しみ、楽しまれてきた「縁側」のある家特集

技術の進歩や文化の発展と共に、家のつくりやデザインも多様化してきた今もなお、
愛され続けている「縁側」。
季節の情緒を楽しみ、社交の場としての役割を果たすことはもちろん、考えに耽る、趣味を嗜む、
のんびりする場とその使い方は十人十色。

ここでは、古くから形を変えずに、いくつもの機能を生み出してきた「縁側のある家」をご紹介いたします。
ぜひみなさまの住まいづくりの参考にしてください。

鎌倉の地に馴染む”ハイセンス和モダン”。細い路地の奥に佇む平屋の注文住宅

神奈川県鎌倉市 / M邸

今回、M邸をつくるにあたり、Mさんご夫妻がこだわったのは"平屋であること""家相"そして"和モダン"だった。30年前につくりあげた1軒目のM邸は2階建て。今後のことを考えて、平屋を希望するのは自然の流れかもしれない。さらに、家相についても、風通りや方位方角をしっかりと整えたうえで間取りを決めている。"和モダン"についても、Mさんご夫妻ならではの美学があったようだ。

「洋風または和風に偏りすぎるのもピンときませんでしたし、いわゆる"和モダン"というくくりにしてよいものか?といったイメージが固まるまで夫婦で悩みました」とMさんご夫妻。「今回、Mさんご夫妻の"こういう住まいにしたい"というリクエストやイメージ像が明確になってご依頼いただいたこともあり、とてもやりやすかったです。実は、"好きにしていいよって"ケースが困ることもあるんですよ(笑)」と秋山さん。

各世帯の独立性と安心感の両立が生む、絶妙な距離感

千葉県成田市 / A邸

 完成したAさん邸は、ひとつ屋根でも「土間」という外部空間に近いスペースを介在させていることで、親世帯、子世帯ともに「一軒の家」としての確かな存在感がある。「平屋で、段差がない家」という親の希望と、「採光が良くて明るく、吹抜けのある家」という子の希望。各世帯の希望を両立した住まいにAさんも大満足の様子で、「居住空間は自分たちの望み通りにつくることができました」

 Aさんのお子さんは、4才と2才の元気いっぱいの男の子。Aさんの奥さまがおやつをつくると、2人で親世帯に持っていくなど行き来も多い。「でも毎日は来ませんよ」と笑うのはAさんのお父さま。「普段はそれぞれに気兼ねなく生活していますが、こちらで何かあったときには息子たちが気づいてくれるだろうという安心感がありますね。大家族と核家族のいいとこどりという感じです」と、穏やかな笑顔で語ってくれた。

奥様こだわりのアンティーク雑貨が映える「自然素材の家」


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共有スペースのほかに、家族それぞれの居場所が設けられているのもY邸の特徴だ。リビングの奥の屋根裏部屋のようなスペースは、ご主人の隠れ家的な場所。パソコンを置き、作業などを行っているという。また、キッチンの奥には奥様専用の作業デスクがあり、DIY好きの奥様のちょっとした作業スペースとなっている。さらに階段を上った先にあるロフトは、子ども部屋。今は壁がないオープンスペースとなっているが、将来的には仕切りを作って個室にすることもできる。
「キッチンにも棚を作れるスペースが確保してあったり、今後手を入れられる余地を残しているんです。家が完成した時点で終わりではなくて、住んでみた時の使い勝手や、家族の成長によって変更できる余地がある方がいいと思うんですよ」と林さん。家族とともに、家も成長していくという考え方をしているのだという。

土間やテラス、自然と徹底調和。客も長居する居心地作りに納得!

埼玉県 / M邸

 縁側は、上部にかかる庇を、季節で変わる太陽の角度まで徹底的に考慮して絶妙なサイズに。そうすることで、夏、日陰のある縁側で気軽に寛げるように。インナーテラスは、爽やかな朝日を室内の奥まで採り込むほか、窓から効率よく空気を採り込むほか、窓から効率よく空気を採り込み排熱する役割を果たす。

 このように、季節ごとにさまざまな使い方ができる「中間領域」によって、「住まい方や生活の楽しみ」を増幅させてくれるわけだ