近年、なにかと注目が集まっている、中古のリノベーション。新築物件より安価で、かつ立地条件に恵まれた物件が多いことが、その理由。中古物件をリノベーションすることで、間取りを大幅に変えたり、全ての設備を自分好み変更したりと、費用を抑えつつ、さらに「自分らしさ」の追求ができる点も大きな魅力の一つ。ここでは、古びた中古物件を理想の住まいに生まれ変わらせた魅力的な「リノベーション」の事例を紹介します。ぜひみなさまの自分らしい住まいづくりの参考にしてください。
フレキシブルで、さらなる価値を
築50年のビンテージマンションリノベ
東京都文京区 / A邸
エレベーターを降りると、そこには築50年を感じさせる鉄の玄関扉が。ここまでは共用部分なのでリノベできない部分だ。しかし扉を開けると、そこには木のぬくもりと壁の白さが心地よい柔らかな空間が出迎えてくれた。
この部屋は南北に長い構造となっていて、お2人はこの構造を3つのゾーンに分けた。玄関から向かって右側の南面は、LDK。配管の関係上、玄関の正面部分には、台所やトイレ、お風呂場といった水回りが中央に集まり、左奥である北面にお2人の仕事場と寝室を設けた。そして、南北をつなぐ通路にはあえて扉を設けず、窓を開けると風が南北に抜けるという工夫も。
築年数の多い物件にありがちな
水回り問題を柔軟な発想で解決
東京都武蔵野市 / O邸
小野修一級建築士事務所の小野修さんが家族とお住まいのご自宅は、1977年築のマンションの1室だ。1977年というと新耐震基準が施行される前だが、実際に建物と竣工図を見て、柱のサイズや構造を確認し、決めた物件だという。
「70年代の建物にこだわって物件を探しました。質実剛健といいますか、素材感や佇まいが好きなんです。自然が多く、駅と学校が近いのも決め手になりました」と小野さん。しかし、当時のままの間取りでは使い勝手も悪く、家の機能としても不十分。小野さんは家族のライフスタイルに合わせ、大規模リノベーションを施して暮らしやすい上質な空間をつくり出した。
子育てのしやすさに妻も納得!経年劣化を生かした中古団地リノベ
神奈川県横浜市 / K邸
販売に出されている部屋を内見に行ったのですが、1階でありながらも南面には、まるで軽井沢のような自然が広がる景観がありました。さらに隣の棟とも離れており、視界がかなり広がっていたんです」と金刺さん。
施主でありつつも自ら建築デザイナーとしてその家をリノベーションしていくことを決定。「自分のテーマ」を持つ家づくりをスタートした。そこでまず決めたコンセプトは「子育てがしやすい家」。これは子どもを身ごもっている奥さまからの要望でもあったという。そしてもう一つのコンセプトは「家族のコミュニケーションがとりやすい家」。家の中のどこにいても家族の気配が感じられるような家づくりを心がけたのである。
空間の快適さを高める曲線の壁全ての人にデザインを
静岡県静岡市清水区 / S邸
増築を重ね、一番古い部分で築60年を経ているというS様のご自宅。通りに面した外観からは、まさか内部空間がこんなにモダンで機能的だとは想像できないだろう。
浴室を中心に水回りを改修したいとご依頼を受け、Sakaki Atelierの戸川さんがS邸に初めて伺ったのは10月のこと。空は晴れ晴れとしているにもかかわらず、家の中をぱっと見た印象は「とにかく暗い」。隣家に左右を挟まれ、細長いウナギの寝床のようなつくりのS邸は日の光がほとんど入らず、昼間から電気をつけないと生活できないほどだった。S様に詳しく話を伺うと、日が入らないため冬は寒いうえ、窓が少ないことから風が抜けずに空気がこもる問題もあったという。
築40年の家が北欧風のモダンな空間に!フルリノベで実現した4世代の家
東京都 / M邸
東京都にある奥様の実家に引越し、ご両親、おばあ様と同居されることになったMさんご夫婦。家づくりを考えるにあたって相談を持ち掛けたのが、旦那様の知り合いにあたる鬼頭さんだった。当初は、建て替えも検討していたMさんだったが、予算の都合で断念。内部をフルリノベーションすることに決めたのだという。
Ⅿさんおよびそのご両親と鬼頭さんで話し合った結果、家の外部には手をつけないことに。このため、完成したⅯ邸の外観は、築40年の家そのままだ。しかし、一歩中に入ると、そこには北欧のテイストを感じさせるモダンな空間が広がっている。「空間を広くとるために、余分な柱を各階で合計20本撤去しました。」と話す鬼頭さん。家の内部は完全に生まれ変わっており、かつての面影は微塵も感じられない。
限られたスペースを有効活用!築40年、37平米のマンションを素敵にリノベーション
東京都台東区 / T邸
2DK(37平米)のマンションに家族で住まうことで、小上がりのスペースを造れば、確かにスペースは狭くなる。しかし、衣類を収納する家具やベッドを置いたり…ということを繰り返しているうちに、すぐに手狭になってしまう。そこで、小上がりとロフトのスペースを縦方向に作ることで床面積を増やし、家具を置かずにさまざまなものを集約することで、限られたスペースでも広々とした空間を作り出すことに成功している。小上がりと収納室の間の通風採光の45センチ角の開口窓から、脱いだ衣類を収納室の洗濯カゴに入れられたりもするので、小上がりが散らからない。また開口窓の下には両側から引き出せる引出があり、洗濯物をたたんでそのまま引出にしまえるという逆の動線も可能だ。さりげなくも、女性らしい細やかな設計が行き届いていることが分かる。
新旧のいいとこ取りリノベで、憧れの古民家風を実現
東京都国立市 / H邸
構造面での補強や断熱などは施したものの、「使えるものは使う」との意向どおり、屋根と躯体は一部を除き、ほぼ前の状態だという。
とはいえ、エントランスや玄関周りは新しくしたため、古さは微塵も感じない。むしろ新築特有の周囲の家から浮いてしまう感じがなく、街並みにうまく溶け込んでいる。
新調した木塀が和の雰囲気を醸し出し、植栽のあるアプローチが小気味よい。
「元々のお家はまっすぐなアプローチでした。今回、カーブをつけて両側に植栽を施して、ちょっとした小径の中を行き来できるようにしました。玄関前のタイルも並べ方を互い違いにして雰囲気を出しています」と松本さん。
何気なく通り過ぎる場所が、家族も毎日心地よく、お客様だって楽しい気持ちで訪問できる。