軽井沢にあるKさん夫妻の別荘は、民家とは思えない上質な非日常感をまとう。しかし、意外にも素材などのスペックに「贅を尽くした」わけではないという。建築家の谷内田章夫さんは敷地のポテンシャルを最大限に活かし、空間の見せ方で圧倒的な高級感を演出した。
この建築家に外観 塀ライトアップ/日が落ちると、板塀に温かみのある明かりがともる。鬱蒼と茂る深緑の中に黒い板塀が浮かび上がり、老舗旅館のような高級感を醸す
外観 バルコニーライトアップ/塀の上辺に沿って見えないように設置された照明が渡り廊下の屋根と床をほんのり照らし、贅沢な非日常感を演出。デッキ・テラスはリビングに向けて広げ、屋内と屋外の一体感を高めている。また、縁部分にもライトを仕込み、夜間でも庭との段差がわかりやすいようにした
ダイニング・リビング/窓の上辺部分にはアップライトがあり、電球光が白いオイルステインで塗装した天井にほどよく反射。天井全体がやさしい明るさを帯びてゆったりとくつろげるが「手もとはもう少し明るい方がいいので」と、谷内田さんはテーブルまわりにペンダントライトも設置した。写真右上にはロフトもあり、視線の抜けによって広い空間をより広く感じさせる
リビング・ダイニング/40畳を越える広々した憩いの場は床暖房が入っており、冬の滞在も快適。庭に沿って何枚ものガラス窓が連続し、心地よい開放感がある。この窓からはそのままテラスに出られるので屋外との一体感も十分。親族や仲間とのホームパーティーに大活躍する空間だ
ダイニング・キッチン/ハイサイドの窓から燦々と光がそそぐ気持ちのよい空間。アイランドタイプの調理台とダイニングテーブルがひと続きになっていて、大人数の会食もゆったり楽しめる。出入口の先にはワインセラーなどを置ける食品保管スペースもある
バスルーム/バスタブの横に大きな窓、その先にはウッドフェンスで囲んだバスコート。窓を引き込んで全開すれば露天風呂さながらの開放感を味わえる。青空と緑を眺めながらリフレッシュでき、Kさんもいたく気に入っているそう。バスコートへは、隣の洗面室から出ることもできる