住宅は安らぎの場です。しかし、1体の生き物としてはさらに生活を拡大するための[巣]=基地でもあります。そのために自然の中で素直にポジティブに暮らせてゆく器としたいところです。必要のない飾りは取り去り、音・熱・光環境などに関して、十二分に配慮し、五感にフィットする器でありたいと思います。また、敷地の中で、与えられた条件を有効に使うことが大切です。それを内部にうまく取り入れながら、空間に生かすことが大事です。また、他にはない特徴=個性をもち、「我が家を実感できる飽くことのない器をつくりたいと思います。
一方、賃貸の集合住宅では、入居者は目に見えない不特定の方となります。誰にでも適合する空間はありません。しかし、平面や断面のプランニングでなるべく空間に特徴を持たせ、広く感じられ、開放感があるような空間をつくろうと考えています。またその中で、汎用性があって、使いやすい空間となるように工夫します。そして入居者の方たちにできる限り喜んで住んでいただくようにしたいと思っています。
/ K邸
軽井沢にあるKさん夫妻の別荘は、民家とは思えない上質な非日常感をまとう。しかし、意外にも素材などのスペックに「贅を尽くした」わけではないという。建築家の谷内田章夫さんは敷地のポテンシャルを最大限に活かし、空間の見せ方で圧倒的な高級感を演出した。
東京都世田谷区 / 集合住宅
マンションでは珍しい一戸建て感覚の間取りを、建築家・谷内田章夫さんは法規上の制約を逆手にとって実現。しかも、谷内田さんが手がける集合住宅はメンテナンスの手間やコストが最小限ですむという。住む人はもちろん、オーナーにも魅力的な空間の秘密とは?