施主さまのご要望は、「日当たりの良い明るい平屋」。けれど隣地には3階建ての住宅があり、採光はかなり不利……。それでも、建築家の吉田祐介さんは要望通りの明るく開放的な住空間を実現。どのようにして環境のハードルを乗り越えたのだろうか?
この建築家に写真左奥が玄関を入ったところ。ここにも明かり取りの窓があり、自然光が入る。玄関を上がるとすぐに洗面室で、手洗いしやすい動線。洗面シンクは病院用のもの。大きくて深いので周囲に水はねしにくいというメリットがある。デザイン的にもレトロでかわいい
木のぬくもりを感じる開放的なLDK。切妻の形を生かした合板張り天井のおおらかさにホッと心がほどけていく、とても居心地の良い空間だ。天井のきれいなデザインを生かすため、照明はできるだけ天井埋め込みを避け、壁付けを基本としている(畳コーナー上)
LDKの中央付近に畳コーナーを設け、その上部を光井戸にすることで、平屋の邸内のすみずみまで明るい自然光を行き渡らせている。この家の光井戸では、吹抜け状になった上部の南北にハイサイドライトを設けている。リモコンで開閉可能な電動窓なので風も通しやすい
畳コーナーには床下収納や壁収納を造作。キッチン奥の造作収納は、半分はキッチン側で使用でき、残りの半分は裏手にある玄関側の収納になっている。高さのある収納だが、天井との間が空いているので空間のつながりが生まれ、広く感じられる
撮影:アトリエあふろ(糠澤武敏)