オーナー邸付きの賃貸集合住宅は珍しいものではない。だが、この住宅のオーナーは設計者である渡辺 仁さん。つまりオーナー邸は“建築家の自邸”なのである。渡辺さんは自分たちと入居者双方のプライバシーを確保し、快適さとデザイン性を両立。完成した住空間には、建築のスペシャリストならではの発想が満載だ。
この建築家に外観 東側全景/道路から見た「W-HOUSE 2」。敷地は写真中央の短い階段を上がった高さに位置し、この写真で1階に見える部分は法規上の地階になる。写真左の南半分だけに2階がつくられており、そこが渡辺さん一家の住むオーナー邸。写真右の建物北側の緑に覆われた部分には、賃貸住戸のうちの1戸のエントランスがある
外観 中庭への階段/道路から見えるこの階段の先には、緑あふれる中庭が広がる。全7戸の賃貸住戸のうち6戸はエントランスが中庭に面している。残りの1戸のエントランスは建物北側の道路に面しており、いずれもオーナー邸への動線とかぶらない
2階オーナー邸 ルーフバルコニー/1階賃貸住戸の屋上を活用した広いルーフバルコニー。写真正面はオーナー邸の子ども部屋。ルーフバルコニーへは子ども部屋前の通路から出入りする。植栽スペースを彩るのはオリーブやレモン。自動散水で手入れもラク
外観 中庭を東からのぞむ/道路からの短い階段で敷地に上がると緑豊かな中庭が目に飛び込み、嬉しい驚きがある。ブラックのドアは、各賃貸住戸のエントランス。写真左の大きな木は、もともと敷地内にあったものをシンボルツリーとして移植したウメ。入居者は暮らしの中でいつも中庭の緑を目にし、葉や花の変化で四季を感じとる
賃貸住戸 居室~キッチン/メゾネットタイプの住戸。写真右は料理が楽しみになりそうな、ゆったりとしたキッチン。写真中央のコンクリート打ち放し部分は階段で、下りると居室、バスルームといったプライベート空間がある
地階はウォルナットの無垢と合板の複合材を用いている。ほか、照明はダウンライトやスポットライト、エアコンは天井に埋め込まれたカセット式を採用。室内の面に凹凸がなく、すっきりとした印象に