京都市の都心部に計画したシェアオフィスです。コロナ渦を通して変化したテレワーク等のワークスタイルに対応した、集中できる仕事場としてのクローズ型オフィスが求められました。
個々のブースは防音性を確保した静寂な空間とする一方、ブースを出た共有部には適度な開放性と充実した機能を持たせることがより集中しやすい場をつくることになると考えました。
一方、個室型シェアオフィスの場合、通路やラウンジといった共有部はブースを仕切る壁とドアに囲まれた無機質な空間となってしまいがちです。
ブースを仕切る壁とドアが並ぶ個室型シェアオフィスの特質と、共有部に必要な開放性と機能性を両立するため、格子状に細分化された壁によって共有部をつくることを考えました。
壁の木格子は、場所によってその奥行きを変化させることで、その使い方も変化していきます。
エントランスでは各社のフライヤーや植栽を置くディスプレイ棚やオフィスの案内板となり、ブースが並ぶ廊下ではそれぞれのドアや小窓として、そしてラウンジではホワイトボードや共有の小物を置く棚、空間に広がりをつくるための鏡面として機能します。
個室が並ぶクローズ型シェアオフィスの特質を逆手に利用し、静寂さと適度な開放性により都市の喧騒の中で集中できる場を設えました。
撮影:貝出 翔太郎