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オンもオフもココで!絵のような中庭と壁一面に8000冊の書棚

2016年02月28日 ── 神奈川県・家づくり ── 16950

 思い立ったら散策に出られるほど自然豊かで、芝居見物やコンサートにも気軽に出かけたい――。そんな思いを胸に、Sさんご夫婦は神奈川県鎌倉市へ移住することを決意。新居を作るため、自然環境を生かした住まいの設計に詳しい建築家に依頼することにしました。

書いた人 村瀬 裕計

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    作った人 松田 毅紀

    住んでいる人 夫婦

    中庭を一枚の絵のように眺めるロの字型のプラン

     Sさんご夫妻が長年暮らしてきたのは、埼玉・大宮駅から徒歩7分ほどのマンション。東京へのアクセスがよく何をするにも便利な街だが、都市化の進展にともなう生活環境の変化は激しく、昔なじみの風景が失われていくのを目の当たりに。そして、移住を決意する。

     新天地の条件としてこだわったのが、自然に恵まれた閑静な住宅街で、ご夫妻の趣味である散策、芝居やクラシックコンサートを気軽に楽しめる住環境にあること。

     たとえば、毎日自宅で仕事の原稿を書きつつ、ちょっと気晴らしで散歩したいというSさん。自宅でスケッチや庭づくりを満喫したいというご夫人。お二人が思い描いたライフスタイルを実現できる街として選んだのが、自然と文化が息づく古都鎌倉だった。


     購入した土地は、広大な鎌倉中央公園に隣接する高台で、富士・丹沢の山々を一望できるロケーション。春になるとさらなる美しさを演出する桜の彩り、年間を通して柔らかく降り注ぐ陽光や海風も心地よい。「最高の土地を探すことができたので、次に、夢を形にしてくれる建築家をだれに依頼するか。慎重に選ばせていただきました」。

     複数の建築家との面談を経て、ご夫妻が指名したのが、東京・豪徳寺でHAN環境・建築設計事務所を主宰する松田毅紀さん。「家自体の力で夏涼しく、冬暖かいを実現する、パッシブデザインの考え方に共鳴したので」とご夫妻は決め手を語る。


     熟慮を重ね決定した家づくりのテーマは、家のどこにいても自然を感じられる住まい。「外に出る気にならないくらい快適な空間でありながら、ふと散策に誘われるほど戸外の魅力も感じていただける家を目指しました」と松田さん。

     完成した住まいは、建物の中心に植栽を施した中庭がある「ロの字型」の2階建てコートハウス。戸外にも適所に前庭や和庭を設け、家のどこにいても緑の癒しを感じられるように。実際に出て楽しむ庭、眺めるだけの庭など、それぞれの性格をはっきりさせて植栽を施した。ご夫妻の一番のお気に入りはリビングだ。「ソファに座り、中庭を1枚の大きな絵画のように眺めたい」という希望を受け、窓枠やブラインドのたまりを隠す工夫がなされている。リビングは壁や天井を白で塗装し、中庭は壁に黒の杉板を採用することでコントラストをつけているのも秀逸だ。

     また、約8000冊余りの書籍を収納する本棚をつくることも、プランの前提条件にあった。そこは、コートハウスならではの外壁の長さを活用して、本棚を分散配置。空間の連続性を損なわずに十分な収納量の確保を実現した。読書家のSさんは、2階西側のレストルームで、丹沢の山を眺めながら読書を楽しむこともあるという。

    「都心のマンションにいた頃と、生活がまるで変わりました。朝は鳥の声で1日が始まる」と爽やかな笑顔。「快適すぎて、オンもオフも自宅で過ごすことが多い」というご夫妻だが、休日になると、ふと由比ガ浜までウォーキングしたり、映画や芝居を鑑賞したりという生活を楽しむ。鎌倉への移住、そして松田さんに依頼したことを心底喜んでいるご様子だ。

    湘南特有の気候を活かしたパッシブデザイン
    • 玄関の扉を開けるとまず目につく正面の中庭。すべてを見せず、奥ゆかしさを感じさせる。和室(左手)との連続性にもこだわった。

    • 白で塗装された天井、無垢の床が清々しいリビング。大容量の本棚を設置し、気軽に読書を楽しめるように。

    • ダイニングキッチン。写真奥の開口部は外デッキに通じる。光と風を採り込むほか、「勝手口」としても重宝。

    • 中庭の植栽。室内から見る葉の揺れ方、木漏れ日など一つひとつの情景を考慮してプランニングされている。 シンボルツリーとしてエゴの木を植樹。

    • 2階のレストルームにも多数の書籍が並ぶ。 スリット状に設けられた窓から丹沢の山並みが見渡せる。

    • 1階の南側に設けた洗面室と浴室。ここでも中庭を眺めながら手を洗ったり入浴したりできる。

    • 2階のルーフバルコニーから見た住まい。コートハウスだから、夜間でも特に1階部分はカーテンやブラインドを使わなくても、あまり気にならない。

    • 東側から見た外観。外壁はグレーのリシン吹き付けを採用し、 周囲に対して落ち着いた佇まいを見せる。

     夏は涼しい海風、冬は熱を蓄えた海風が吹き込むことから、1年を通じて「比較的過ごしやすい」といわれる湘南エリア。Sさん邸では、その地域特性を存分に活かしている。コートハウスにしたのも、セキュリティや外からの視線を気にせず窓を開放し、爽やかな自然の風をいっぱい採り込めるようにする狙いがある。

     また、夏対策として、厳しい直射日光を遮る落葉樹やパーゴラを庭の各所に設置したり、排熱換気を重視した高窓を設けたり。冬対策として、柔らかな陽光を部屋の隅々にまで採り込む窓を配置したり、断熱性を考慮して窓周りに障子やブラインドを設置したりと、自然と寄り添う暮らしを提案。このようにパッシブデザインを多く取り入れたプランは、松田さんならではのこだわりである。

    作った人 松田 毅紀

     住まいは建物だけでなく、家の中から見る景色、つまり庭のあり方までしっかりと検討すべきと考えます。Sさんご夫妻も同じ感覚をお持ちだからこそ私をご指名くださったと思います。一緒にプランニングして、楽しかったですね。

    住んでいる人 夫婦

     毎週送られてくる図面に意見や質問を添えて送り返す、訂正された図面にふたたびコメントをつけてより良いものを練り上げる。家づくりの時間はとても充実して喜ばしいものでありました。建築家と四つに組んで家を建てるなら、聞く力のある松田さんは得がたいパートナーになってくれます。

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