真鶴の雄大な海を眺めながら、ゆっくりお風呂に入りたいという希望からスタートした別荘づくり。建築家の德家さん夫妻は、くつろぎを得ることはもちろん、日常的に質の高い暮らしができる環境の家を計画。既存建物の解体から別荘の新築まで、トータルに担当したからこそ実現した贅沢さがあるという。
この建築家に海側から見た外観。家の右側に浴室の窓がある。玄関へは階段を上るほか、画像右に設けられたスロープを使ってもアクセスできる。2階のテラスは眺望の邪魔にならないよう、柱をなくし、また手すりも可能な限りシンプルな設えとした
庭から見た外観。この角度では外からの視線が入ってこないため、1階、2階ともに大きな開口とした。1階、右側の階段に続くドアはお嬢さま夫妻の寝室のもの。寝室から庭に直接出たいとの要望に応えた。2階のテラスは庭に面する部分もテーブルセットを置けるほどの余裕がある
エントランスからポーチを見る。玄関ドアのハンドルと、奥に見える小さなベンチには、真鶴町のまちづくり条例「美の基準」に沿って地元の材料である本小松石を使用。質感を残した優しい仕上げを施した。「石に触れることで、真鶴に帰ってきたと思ってもらえたら」と2人
エントランスから玄関ホールを見る。画像奥に庭に面した正方形の窓を配置した。大きな窓からは庭の樹木が見え、奥行きが感じられる。収納は窓を阻害しない、低いデザインで手すりにもなる。画像手前右はウォークインクローゼットへの扉。衛生面を考慮し、中には小さな手洗いも設けた
2階リビングは落ち着いた雰囲気。ここに用意した椅子で思い思いに過ごす。画像右、吊り照明は高さや光量が調節でき読書に役立つ。本の収納量はあらかじめ伺い、収められるだけのシェルフを家の中に複数用意した。天井と壁面の間に設けられた間接照明が、夜間は壁面を明るく照らす
2階、室内とテラスはフラットに続く。窓の上部に木製のブラインドがきっちりと収められている。「初期から入れ込むことを計画しなければ収められません。トータルに設計したからこそできたことです」と2人。手すりはシンプルにするなど、絶景を妨げる要素を可能な限り排除した
1階洗面脱衣、浴室。一部で丸みを帯びたデザインを、との要望はここでも叶えた。湯船に浸かると海が見える
撮影:淺川 敏