家族やペット・友人との寛ぎやテレワークも
自然豊かな場所に佇む上質セカンドハウス

キャンピングカーで全国津々浦々を巡っていた施主のAさん。車の買い替えを機に、拠点となるセカンドハウスを計画されたそう。その設計を任せたのは、顧客の「想い」を実現する家づくりに定評のあるef設計の木下さん。木下さんは、自然豊かな環境にマッチしたセカンドハウスを実現してみせた。

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積雪などの自然環境にも配慮
豊富な経験が、目の行き届いた設計を実現

かつて日本でも珍しいカタカナ表記のマキノ町として知られていた滋賀県高島市マキノ。北は福井県、南西は琵琶湖に接したこの町は、春には桜、夏にはビーチ、秋にはメタセコイア並木、冬にはスキーなど、四季折々の自然を楽しめる場所。

キャンピングカーで日本全国を出張や旅行していたAさん。車の買い替えを機にセカンドハウスの拠点として選んだのが、同じ滋賀県内のご自宅から約1時間半のほどよい距離にある自然環境豊かなこの場所でした。

当初、地元の工務店にプランニングをしてもらったAさん、満足のいくプランが出ずに悩んでいたところ、知人より紹介を受けたのが、「顧客の想いを形にする」ことに定評があり、別荘を手掛けた経験も豊富な建築家、ef設計の木下さんでした。

Aさんよりプランニングの依頼を受け現地を訪れた木下さん、いわゆる雑木林の中で虫もたくさんいる土地を見て「この自然環境とのマッチング、どれだけ自然を残すか手を入れるかがカギになる」と感じたのだそう。

せっかくのこの自然環境。生えている木をできるだけそのまま残すのが良いかというと、そうでもないのだという。
「木の根が張り、建物や土地に影響を与えてしまうこともありますし、台風の際、倒木の心配もあります」と木下さん。

毎日人が住む住宅であれば、自然環境の変化にも気づきやすく、状況次第での対処が可能かもしれないが、別荘となるとそうはいかない。しばらく訪れない間に大変なことになってしまうかもしれないのだ。

また、この地域は冬になると雪が積もることもある地域。人が住み、毎日暖房が入るのであれば雪も溶けやすいが、冷え切ってしまうことが多ければ屋根に雪が積もったままとなる。積もった雪は、躯体に大きな負担となり、場合によっては建物を破損してしまうことも。
だからこそ、十分な強度をもつ構造、雪が落ちやすい屋根の形状や角度、さらには雪が落ちる場所にも注意するなど、設計や部材の使い方も一筋縄では行かない。

「例えば、雨どいを普通につけてしまうと、落雪時に外れてしまうということにもなりかねません」と木下さん。

日本の様々な場所で、一般の住宅はもとより別荘も数多く手掛けた経験を持つ木下さんだからこそ、細部に目が行き届いた設計ができるのだ。
  • 道路側の外壁は、黒を基調とした落ち着いた印象に。友人などが訪れても良いように数台分の駐車場も設置。

    道路側の外壁は、黒を基調とした落ち着いた印象に。友人などが訪れても良いように数台分の駐車場も設置。

  • 林の中に佇むA邸一見すると平屋建てのようだが実は2階建て。周囲は雑草が生えにくいよう砕石を敷いた。愛犬のための芝敷きのドッグランも設置。

    林の中に佇むA邸一見すると平屋建てのようだが実は2階建て。周囲は雑草が生えにくいよう砕石を敷いた。愛犬のための芝敷きのドッグランも設置。

  • 東西に長く伸びるウッドデッキ。深くせり出した軒が雨や雪、夏の日差しから守ってくれる。積雪にも耐えられるよう、柱や梁で構造を強化

    東西に長く伸びるウッドデッキ。深くせり出した軒が雨や雪、夏の日差しから守ってくれる。積雪にも耐えられるよう、柱や梁で構造を強化

  • 広々としたウッドデッキは、リビングとシームレスにつながり、リビングの延長のよう。素地にした処理を施した国産杉板の壁は、経年によって黒っぽく変化し落ち着いた色に変化していく。

    広々としたウッドデッキは、リビングとシームレスにつながり、リビングの延長のよう。素地にした処理を施した国産杉板の壁は、経年によって黒っぽく変化し落ち着いた色に変化していく。

広々デッキに薪ストーブ、ドッグランまで
顧客の要望にNOといわない家づくり

木下さんは家づくりにおいて施主の要望をすべて受け入れることをモットーとしている。いわば、NOといわない建築家。とはいえ、唯々諾々と受け入れるのではない。施主や家族が本当に望んでいることや想いをうまく汲み取り、それが実現できるよう最適解を見つけ出すのだ。建築家と施主が、一緒に家づくりを楽しむパートナーのような関係を理想としているのだという。

では、このセカンドハウスにおいて、Aさんの要望には、次のようなものがあったのだろう?

まず1つめは、雨に濡れないウッドデッキ。自然の景色を楽しみ、季節のよい時期にはアウトドアリビングとして活用できる場が欲しいということ。次は、家族の一員でもあるワンちゃんが楽しく遊ぶことのできるドッグラン。また、家の中からその様子も見たいということだった。家の中には薪ストーブを置き、アイランドキッチンで調理をしながら会話や景色も楽しめるようにしたい。さらにはテレワークの拠点としても活用したいとのことだった。デザイン面では、細かな希望はないものの、白を基調とした自宅とは違った、自然とマッチするような落ち着きのある雰囲気がいいとのこと。

この要望を踏まえ、木下さんが導き出したAさん邸の最適解とはどんなものか見ていこう。

この家の顔にあたる部分は家の裏側にある。広々としたウッドデッキが東西に延び、せり出した軒がその上部を覆っている。雨や雪、さらには夏の直射日光を遮り、アウトドアリビングとして大活躍する。ウッドデッキとテイストを合わせた国産杉板の外壁は、下地に処理を施し耐久性をもたせたもの。年を経るごとに黒っぽく変色していき、屋根や三方の壁材である金属サイディングと風合いが似てくるのだという。

雪が落ちやすくなる角度に調整された屋根の中央には、煙突が延びる。薪ストーブの煙突だ。屋根の傾斜だけを見ると、片流れで平屋の建物のように感じられるが、実は切妻屋根の2階建てだ。建物の形状や素材感が、どことなく「和」を感じさせる落ち着いた印象を持たせてくれる。

邸内に入り、LDKに進むと広々とした空間が広がる。屋根の傾斜を上手に使った吹き抜け空間となっており、開放感抜群。そして大開口の先に広がる景色が何よりも美しい。ドッグランの芝やその先に木々が生い茂る様子は、四季折々で違った色彩を見せてくれるに違いない。もちろんドッグランで、家族同然のワンちゃんが楽しく遊ぶ様子は、Aさんにとって景色にも勝るギフトだろう。

LDKに鎮座するといってもよい薪ストーブも存在感抜群。薪ストーブは、単に暖房としてだけでなく、光や音、香りも楽しめる。訪れた人やこの家を身も心も暖めてくれるに違いない。

「Aさんから、『サル、シカ、キツネはもとより、この間は熊も出ました。自然豊かな環境で楽しく過ごさせていただいています』とメールをいただきました」と木下さん。

動物、植物を楽しめる抜群の環境で、家族や友人と寛ぎのひとときを過ごしたり、1人落ち着いた環境でテレワークをすることができる。なんともうらやましいセカンドハウスが出来上がった。

木下さんは家づくりにおいて、できるだけフラットな関係性を築くようにしているという。それは、立場にとらわれず「人と人」で話すということ。話しやすい雰囲気づくりは、顧客の要望を的確に掴むことでもあり、ひいては満足度の高い家に仕上がる。

自分が本当に望んだ家を創りたいのならば、木下さんとお話をすることから始めると良いのかもしれない。
  • 玄関までのアプローチはあえて距離をとり、一歩ずつ近づいていくことで、非日常へのワクワク感が高まる演出

    玄関までのアプローチはあえて距離をとり、一歩ずつ近づいていくことで、非日常へのワクワク感が高まる演出

  • 広々としたリビングは屋根の形状を生かした吹き抜けで、高さからくる開放感も。大開口の先にはドッグランや木々の緑が目を楽しませてくれる。

    広々としたリビングは屋根の形状を生かした吹き抜けで、高さからくる開放感も。大開口の先にはドッグランや木々の緑が目を楽しませてくれる。

  • リビングに鎮座する薪ストーブは、暖房だけでなく、音や光、香りでも心を暖めてくれる。階段はスケルトンとすることで、高窓からの光を下すとともに、薪ストーブの暖気を2階に導く

    リビングに鎮座する薪ストーブは、暖房だけでなく、音や光、香りでも心を暖めてくれる。階段はスケルトンとすることで、高窓からの光を下すとともに、薪ストーブの暖気を2階に導く

  • キッチンはアイランド型とすることで、外の景色や集まった人々との会話を楽しみながら調理ができるスタイルに。あえて天井を低くすることで、リビングの開放感をより際立たせた。

    キッチンはアイランド型とすることで、外の景色や集まった人々との会話を楽しみながら調理ができるスタイルに。あえて天井を低くすることで、リビングの開放感をより際立たせた。

  • シンプルで落ち着きのある寝室。グリーンのアクセントウォールと窓先の緑のマッチングが心地よい

    シンプルで落ち着きのある寝室。グリーンのアクセントウォールと窓先の緑のマッチングが心地よい

  • ゲストルームとしても使われる洋室。光が屋根に反射して作り出す陰影が面白い

    ゲストルームとしても使われる洋室。光が屋根に反射して作り出す陰影が面白い

撮影:宮本 淳

基本データ

作品名
マキノセカンドハウス
施主
A邸
所在地
滋賀県
家族構成
夫婦+子供2人
敷地面積
514.975㎡
延床面積
113.1㎡
予 算
3000万円台