推定築100年以上の古民家のリノベーションを手がけた建築家・北村拓也さん。住まいを囲む下屋(げや)に着目し、雪国の知恵を現代の暮らしへとつなぐ魅力的な空間を完成させた。時間を重ねたものへの愛情と敬意を感じる北村さんならではのリノベを紹介。
この建築家に窓辺には、大きく長い三角形の小上がりをつくった。幅が狭いところでは腰かけて座り、広いところでは上がって寝転ぶなど、いろいろな使い方ができる。アシンメトリーな斜めの造形はおおらかな山あいの自然との相性も良く、この空間そのものが風景と一体化するかのよう
大きな三角形の小上がりがつくられた窓辺の空間。外の景色をきれいに切り取った窓たち。腰壁は積雪を考慮した高さで、雪が積もると窓から地続きに雪景色が広がるように計算されている
広間は古い柱にトーンを合わせ、天井や床を漆黒の古色塗装で仕上げている。照明も、経年で風合いを増す真鍮の器具を使用。もちろん内装だけでなく、老朽化していた構造も地元の大工職人の技術でしっかり補修。耐震・断熱を強化し、床暖房を備えた快適な空間へと再生されている
広間には、間仕切りになる可動式の家具を用意。施主さまがセカンドハウスとして使う場合と、民泊利用する場合では空間の使い方が異なることが想定されるが、この間仕切りでフレキシブルに対応できる