団地の一住戸をリノベーションし、自宅兼事務所として活用している建築家の花井奏達さん。施主のCさんは、花井さんの家を見て「リノベーションでもこんなに素敵にできるんだ!」とこれまでの意識が変わり、中古マンションのリノベに踏み切った。花井さんは、築40年のマンションをどんな空間に変えたのだろう。
この建築家にぐるりと回遊できる動線は、キッチン部分まで土間が続く。窓は木製建具で二重化し、断熱性、気密性、遮音性を高め、環境性能を向上させた。
ダイニングテーブルと一体化したキッチンは「木工ふくなり」で作りたいという夫妻のご希望に応える形で、花井さんが設計したもの。床のフローリングや壁の木に見事にマッチ。
明るく開放的なLDK。どこに座っていても、どこに立っていても視線の先には景色が見える。家族が寛ぎ、訪れた人が談笑する居心地のよい空間に生まれ変わった。
食器などを置ける吊り棚は、キッチンの照明も仕込まれている。配線はパイプの中を通し露出しないようにするなど、細かな配慮も花井さんの仕事の特徴の1つ。
バックヤードの棚を一部貫通させることで、採光・通風・視線の抜けの一石三鳥を実現。見せる収納で食器や家電がインテリアにも。
撮影:植村崇史