建築家の四方さんが眺望や周辺環境を重視して購入を決めたのは、リフォーム済みのマンション。すぐにでも住める状態だったが、ライフスタイルに合った空間にすべくリノベすることに決めた。そのまま使えるところは使い予算を抑えつつ、マンションの一室とは思えないほど明るく、心地よく過ごせる住まいができた。
廊下からLDKを見る。廊下からリビングまでの壁面で用いたベネチアンスタッコは、ご主人が希望して取り入れた。左官仕上げの上質感はもちろん、廊下側では外の景色や室内の観葉植物が壁面に映りこんでとても美しい
リビング。この景色を気に入り購入を決めた、と四方さん。窓の外に見える街並みは都市計画区域内にあり、高い建物が建たないため眺望はこれからもほぼ変わらない。左奥は仕事スペース。画像のようにカーテンを全開すればリビングと一体となる
リビングとその一角に設けられた仕事スペース。仕事スペースは現在、お子さまの遊び場として活用している。仕切りにはカーテンを用いた。気軽に開け閉めできることに加え、壁面や扉で仕切るのとは違い、様子や気配を把握しやすいことも大きな利点だ
キッチン(左)と仕事スペース(右)。リビングから連続するキッチンはインテリアに馴染むよう考慮。豊富に計画した収納には全て戸を付けたうえ、画像中央の戸で冷蔵庫も隠すなど生活感を軽減させた。キッチンの上部は天井を残し、照明もそのまま使用することにした
リビングダイニング。壁面にご主人のCDやレコード類を収納する棚を造作した。室内に圧迫感が出ないよう、右半分は壁のままとしグリーンなどを飾っている。また、白い壁面が光を反射し、室内が明るいイメージとなった。棚の上部、戸がある箇所の左端にはエアコンが隠れている
家具っぽさを重視したキッチン。対面のベネチアンスタッコの壁面に合わせ、天板には光沢のあるコーリアンを採用した。「棚の戸は取手の代わりに丸く穴を開けてフラットにしました。両端だけでいいのですが、デザイン性を考えて中心にも穴を開けました」と四方さん
キッチン。画像左、時計がある部分も吊り戸棚となっている。その下には角を丸くしたステンレスを配置。マグネットがくっつくので、メモを張ったり写真を飾ったりと便利に活用できる
キッチン。引き戸を引き込むスペースなどから生まれた壁の凹凸を活用してスパイスラックを設けた
仕事スペース。両側に住戸があるため横幅が狭く、また窓の位置も限られている。そこで、横長の鏡を取り付けて外部の景色や室内を映りこませ、空間に広がりを持たせた。窓としてイメージできるよう、木枠の鏡を選んだ
撮影:原祥子