風情ある住宅地に計画された3階建て住宅。
近年、徐々に街並みが変容しつつある中、元来からのこの地域の環境を気に入られ、こだわって土地取得された施主の想いに共感し、街並みに対しても潤いをもたらす計画ができればと考えました。
法定面積の上限いっぱいの計画ではあるものの、建物を一つの塊ではなく、小さなボリュームの集合体としてできるだけ量感を抑え、建物周囲にたくさんの余白(=庭)を生み出し、緑に包まれる住宅を目指しました。外壁は、緑の背景としてしっとりとした表情となるよう濡れ色がかった暗灰色の左官仕上としています。 宅盤が道路よりも1m程高いため、1階は70cm程の半地下形式としホームEVを設置することで全体をバリアフリーの計画としています。
半地下形式の1階は”庭との親和性”、主階となる2階は”緑に包まれた浮遊する住処”、眺望の良い3階は"望楼"として、各階ごとの特性に応じたテーマを持たせています。2階は、プランに回遊性を持たせ、普段は2階だけでも快適に生活できる計画としています。
撮影:松村芳治