敷地は神戸の山の手にある住宅地の一角にあります。周辺は、少し急な坂道を上れば四季折々に変化する六甲山を感じることができる、いかにも神戸らしい風景に囲まれたゆったりとした町並みが特徴です。そんな敷地に木造3階建て、建築面積17坪、延べ床面積35坪の家を計画しました。
プランニングの過程でもっとも意識したのは、がけの部分を除くと平部が25坪しかない狭小敷地であること、またその敷地が三角形で、なおかつ良く目立つ角地であることです。〈狭小〉〈三角形〉〈角地〉というとても特徴のある敷地を無駄なく活かしきる/使いきることを考えました。また、光をとりいれ、神戸らしい景色が楽しめるようにしつつ、一方でプライバシーを守ることも課題となります。敷地環境を丁寧に読み解き、問題をひとつひとつ素直に解決していくことで、自然にこのかたちが浮かび上がってきました。
タイトルは「三角形の家」。敷地の形状に沿った大胆な三角形のプランとなりました。結果として至るところに三角の余剰空間が生まれますが、その余った空間を無駄にせず、工夫し、三角であることを逆手にとることで楽しく素敵な空間となることを目指しました。また、その「三角形」には少し「切れ込み」を入れています。プライバシーを守りながら、開放的に「開く」ことで、神戸の素敵な景色もたっぷりと取り込んだ魅力的な家となりました。
撮影:Akiyoshi Fukuzawa