建て替えで新築した住まいの設計です。計画にあたって意識したのは、クライアントのご両親が住んでいる北側敷地との関係でした。ただ独立した家をもう一軒建てるだけではなく、やはりうまく空間を連携させていきたい。そこで建物の真ん中を切り通し、そのトンネル(=隧道)によって、アプローチとなる南側から建物の向こうの北側までを繋げていく住まいを計画しました。
切り通した〈隧道〉状の空間は、印象的な大雪山のナラ材に囲まれた間口4m/高さ2.6m/奥行6.4mのリビング・ダイニングルームとなっています。外部の庇や縁側、テラスにも屋内の仕上げを連続させ、「建築に開けた穴」のようなデザインを強調しました。夜には南側と北側に平行に配置された窓が合わせ鏡のようになって、大雪山のナラ材や斜めに切れ込んだ照明を映しこみ、〈隧道〉が無限に続いていくように感じられる仕掛けです。
撮影:Akiyoshi Fukuzawa