京都市にある、長屋住戸の改修計画です。
敷地は大通りから入った静かな住宅地の中にあり、横4戸、上下2戸の重層長屋が数棟並んでいます。某企業の社宅としても使われていたという築100年近くの歴史があり、今回はそのうちの一棟、端の一戸(1+2階)を改修しました。
3方が道に面している角地で、1階部分は町かどに対しても新しい顔となることを意識し、外観を更新しました。一部、増築しながら3辺にぐるりと屋根をまわし、角切りした屋根の下には樹木を植え、まち角の印象を和らげています。
内部は今までに何度か改修、増築がなされており、補強が必要なところには壁を設けながら、既存の柱や壁、階段の位置は大きく変えないように空間を再構成しました。1階はいくつかの素材感がある材料を採用し、穏やかながらも短調にならないよう丁寧に整え、一方で、2階は天井を抜いて、既存の野地板や屋根架構をそのままあらわし、この長屋の歴史が垣間見える空間となっています。