本計画は裏側が崖となっている高台の土地に計画された一戸建て住宅のプロジェクトです。
本計画地は京都の中でも長閑で山並みに囲まれた地域に位置しています。クライアントも京都市内から田舎暮らしに憧れこの土地に魅力を感じ移住して来られました。そして、この高台である立地を生かした「裏側への眺望と抜け感を意識した内土間のある家」を希望され計画がスタートしました。
「通り土間」
そこで本計画では、内と外が緩やかに繋がるように玄関ポーチから裏土間へと続く通り土間(半屋外・中間領域)を設け、「裏側への眺望と抜け感を意識した」空間を創り出し、その通り土間を挟んで家の中に2つの居場所を設け多様で豊かな空間を創り出すことを考えました。この「通り土間」には、フルオープンに開く木製サッシを設けることで、より内部と外部が緩やかに繋がる工夫をし、「通り土間」を家の真ん中に通す事で建具を使わずに2つの空間を緩やかに繋げる(仕切る)ことを考えました。これは日本古来の住まいからヒントを得て、内と外との境界や各部屋の境界を多様で豊かな仕切り方で現代風に再構築したことになります。
「母屋と離れ」
また、この2つの居場所は「母屋と離れ」をイメージし、それぞれの居場所に各機能を最小限に配置しました。1つ目の「母屋」は「KD+水廻+子供部屋」、2つ目の「離れ」には「リビング+主寝室」機能を設けました。そして、その間を通る土間は「外部・中庭」としてデザインし、家の中にも外部と内部が混在する空間を創り出すことで、シンプルながらも内部空間に多様で豊かな空間を創り出しました。
「五感で感じる豊かな変化」
その余分なモノをなくしたことで生まれた余白部分(通り土間と土間リビング)には、縦への動線となる曲線階段や地植えされた観葉植物、薪ストーブを配置し立体的にも多様で豊かな繋がりを創り出しました。私は単純な平面計画だからこそ、断面的に色々な検討を行うことは非常に重要なことだと考えます。今回は単純な動線になりがちな階段を土間に張り出すように曲線階段とし、色々な高さで土間空間を楽しめる計画としました。この豊かな余白のある住まいで、何気ない日常の中に「五感で感じる豊かな変化」を感じ取って頂ければと思います。