築25年のハウスメーカーによる軽量鉄骨造住宅のリノベーション。元々ご両親と2世帯で住んでいたが、ご両親と生活時間も違うことから、2階に新たにキッチンや洗面所を設け、1、2階の生活を区画するような在り方を希望していた。2階はもともと個室が4部屋、天井は一般的な2.4m程度の位置で区画されているごくありふれた間取りである。天井裏を調べると軽量鉄骨のフレームやブレースが軽やかにかかっており、とてもダイナミックに見えた。そこで、2階の間仕切壁や天井を取り払いワンルームの計画とした。クライアントはベーカリーを営まれていて、普段から試作を重ねたり、お料理をするのが好きだということもあり、リビングの中心に大きなキッチンテーブルを配置した。新たに、LDK、寝室、子供部屋、洗面所を再構成したが、各部屋を閉じるのではなく、架構を活かして、2階全体がどの部屋からも天井で繋がるような空間を目指した。
築30年前後の大量供給されていきた住宅ストックは1世代分のサイクルを終え、新しいサイクルを迎えるよう考えている。これまでは壊して新築が当たり前だったが、残して使う、その際に起きるライフサイクルの変化やニーズとのミスマッチなどに対応したリノベーションのニーズは、省エネな暮らしにも繋がる時代の流れのように考える。