増築したのは吹抜け空間、つまり空気なのです!
海を見下ろす高台の閑静な住宅地に建つ、木造2階建ての増改築です。
改修前のお宅は在来工法で和室中心、門かぶりの松のある立派な和風邸宅でした。
お施主様のご要望の要となるのは、眺めの良い2階を家族で過ごすダイニング、リビングにしたい、和を感じる要素を残さずに全て洋室としたいというものでした。
また、奥様はデザイン同様に家事動線が大事!とプラン検討に熱が入ります。ご主人は、ダイニング、リビングの床はピカピカのタイル貼りでそれがテラスへと繋がっていくイメージをお持ちでした。
わたしたちは、ほとんど使われていなかった2階の広いテラス(1階リビング上部)を取り払って新たな屋根を架け吹抜けを作ることを提案しました。
階段を上がるとタイル張りのリビング、ダイニングが広がり、ガラス手摺の向こうには吹抜けを通して大きなフィックス窓から大磯の海が開けるのです。
そして、吹抜けを介してご家族の様子がお互いにやわらかく伝わります。
外観は、もとの大きな勾配屋根にスタイリッシュなボックスが新たに付け加えられたような形となりました。
夕方から晩にかけては、そのボックスから暖かな照明のオレンジ色が通りにこぼれて行灯のようです。
1軒の住宅のリノベーションが、ささやかですが町の景色にも寄与できた事例だと思います。
設計:NASCA + AeO 設計共同体
撮影:淺川 敏