<3つのテラスを持つ住宅>
敷地は、南面に接道を持つ南北に長い陽当たり良好な平坦地です。
プライバシーを確保しながら(やや離れた西側近隣のマンションからの視線を避け)、
外部を感じることができるテラスのある暮らしを実現することが1つのテーマとなりました。
第1のテラス
3階建ての建築全体ヴォリューム調整のなか、ダイニングとリビングは2F東側の外部空間を介して広がり・
つながりを持たせ、南東の日照を心地よく確保出来る中央テラスを計画します。
第2のテラス
居室へのプライバシーと日射の影響を考慮し、西面は壁面の多い構成としながら、微風でも自然通風を得やすい大きな開口部を壁面中央に穿つことに。この2層に渡る凹みを第2の多目的テラスとし、通風(ウインドキャッチ)・眺望・中央テラスへの明るさなどを確保します。
第3のテラス
最上階には、眺望の良い南東に第3のテラスを配置します。
テラス際の居室で朝陽を気持よく感じられること、下階の中央テラスへの日照配慮などから建築ヴォリュームを定めます。
そのほか、リニアな内部階段動線に沿った収納効率の良いストレージを各階に配置すること。
愛犬への動線・換気の配慮。空気環境としては各室・階段を個々に区分け可能とすること。クライアントお好みのインテリアテイストを建築に盛込み、また建築全体の外観イメージとしても、シンプルな素材選定としながら近隣建物とは異なる存在感を与えること・・等々スタディを行ないました。
そして意匠・構造・設備、機能とコストを総合的に整理した結果、低層部には梁型を室内に見せないRC造、上層2層は断熱・気密を意識した木造というフレーム構成としています。
外観上は大きく開放的な窓を多く設けずプライバシーを確保し、性格の異なる3つのテラス、中央の内部階段などを介して(大きな吹抜けを空間を持たずとも)住宅の内外に開放感と奥行き感、外部の自然光や風の変化を提供したい・・
建築全体としてフロア構成を複雑にしないまま、緩やかに人の気配を感じられる、立体的な程良い距離感を備えた住宅となることを「尾張の住宅」では考えました。