新しく分譲された土地の新築。
敷地は比較的ゆったりとした矩形の土地でしたが、分譲地の区割り計画によって道路側の間口よりも奥行きの方が長い長方形をしていました。こうした敷地形状の場合、道路側に玄関をとってしまうと廊下の多いリニアなプランニングとなってしまうため、玄関位置を敷地中央まで引込み、東西南北4方に開口部を開くことができる計画としました。
様々な要望のやりとりの中で、徐々に浮かび上がってきたものは、オーソドックスな住宅でありたいということ、広い空間ではありながら、ダイニングやリビング等個々のスペースの独立性は担保し、5人の家族が同時にいてもそれぞれが心地よい距離感を保てる空間。そうした要望を元にスタートし、様々な形状のプランを敷地に当てはめていきました。
何パターンかの方向性を模索していく中で、最終的に採用されたのはリビングやダイニング、その他フリースペース等の空間を大きな四角い空間とするのではなく、斜めにずらしながら繋げていく計画でした。四角い部屋の角が繋がっている形状。リビングとダイニングは、平面的につながりますが、リビングから2階へと斜めにつながるフリースペースを設け、将来的な子供部屋としています。
こうした平面、断面形状によって、リビングやダイニング等のスペースは斜めにつながりながら視覚的な広さを感じることができますが、個々のスペースは、3方を壁に囲まれた独立性の高いスペースとなります。また、窓の配置や壁の配置を各空間に立った際の視線の抜け具合や光の反射を考慮し、光の入る1方向に窓を集中させるのではなく、4方に散らした配置とすることで太陽の動きと共に、住宅内部に光が一定のグラデーションをつくるようなイメージで計画しています。
日々の生活の動きと共に、各空間の場面場面が変化していく。ある場所のある一瞬の見え方が良いという形ではなく、多様な光のグラデーションをもった空間が連鎖し繋がっていくような、時間的な奥行きをもった空間が、日々の生活においてリラックスしリフレッシュすることができる住宅としての役割をつくりだしてくれるのではないかと考えた。
また、
サッシや外壁面の断熱性を高め、第一種換気の採用、小屋裏や床下空間の熱循環設備を導入し、極力エアコンに頼らない計画としている。冬は1階の床に設けた床暖房の空気のみで家全体が温まり、夏は床下内の冷たい空気を循環させ、家全体の空気環境を整えている。