大分県別府市にある認可保育園「リトルメイト」。創設から約20年、園舎建て替えにあたり白羽の矢が立ったのが、建築設計事務所YRADの田中悠希さんと榎本亮祐さんのおふたりだ。施主である園長先生が長年温めてきた具体的かつ多岐にわたる要望に、おふたりはどのように取り組んだのでしょうか。
この建築家に東側と北側が接道した敷地に立つ「LITTLEMATE」。鶴見岳から別府湾に向け傾斜した土地に合わせるように、東面ファサードを低く抑え、奥(西)へ向かって高くなるよう建物をレイアウト。周囲に圧迫感を与えないように配慮した
1階保育室から階段室、中庭を望む。保育室は東側一面がガラス張りになっていて明るく開放的。ぬくもりの感じられる木製サッシを採用している。外から、中庭→階段室→保育室とレイヤーにレイアウトすることで、プライバシーを確保すると同時に空間に奥行きが感じられる
1階保育室の別アングル。写真右側の扉の奥に収容スペースやトイレ、スロップシンクなどをまとめて配置、扉を閉めるとスッキリした印象に。天井にはカーテンで部屋を間仕切りできるようレールを設置。保育園ならではの細やかな工夫だろう
保育室から続くランチスペース。ガラス窓で仕切られた奥のスペースは厨房となっている。中庭と室内の床がフラットになっているので、小さな子どもでもつまづきにくく安心して出入りできる。季節や時間帯によっては、中庭に降り注ぐ陽光が室内にも届く
左から中庭、階段室、保育室。手前の空間がランチスペース。建物はコの字型になっていて、写真奥が玄関や園長室、スタッフルーム、書庫などを集めた棟となっている。2階に見える窓がスタッフルームで、ルーム内にいながら園内にも目が届く
シンボルツリーを地植えした中庭から2階テラスを見上げる。中庭は、玄関ポーチ・階段室・ランチスペースの三方向から出入りできる。階段室の外壁は、採光を確保するため2階までガラス張りになっている
2階へ続く階段はスキップフロアでワンクッション。エアープレイスには2階保育室からアクセスできる
鉢植えの植栽のある2階テラス。フェンスの高さは1300mmを確保、園児が乗り越えることのないよう安全面もしっかり。足元まで見えるので、子どもたちは道行く人たちに手を降ったり、お話したり
敷地を有効活用するため、屋上には人工芝を敷いたルーフテラスを設けた。広さは約14m✕6m(植栽部含む)もあり、思いっきり走り回ったり、転げ回ったりして体を動かすことができる