自然素材は、合理性、利便性を最優先するようになった高度経済成長期あたりから、どちらかというと敬遠される傾向にありました。近年、衣食住のすべてにおいて、その自然素材を求める人が増えてきたと感じています。ですが私は、単に自然素材を使えばそれでいい、とは思っていません。
住まいにおいて大切なのは、安心できる素材を使い、現代の技術で土地の気候風土に合った快適で楽しい暮らしが叶う住まいをつくること。奇をてらわないシンプルな間取りで家族構成や暮らし方の変化にしなやかに応え、次世代まで末永く住み継がれる住まいをつくること。年月が経つほどに深みを増し、見て、触れて、心地よいと感じる住まいをつくること。いつも、そんなことを考えながら家づくりをしています。
埼玉県東松山市 / H邸
シンプルな木の家をテーマにこだわり、建築材の“地産地消”に取り組む建築家の福田義房(ふくだ・よしふさ)さん。川越市にある一級建築士事務所アーキクラフト代表であり、森と町を結ぶNPO法人「山のめぐみ」理事なども務める福田さんが設計する家は、何とも言えないぬくもりと安らぎに満ちている。埼玉県東松山市のH邸を例に、その細やかな仕事ぶりを見てみよう。
埼玉県さいたま市 / K邸
「内装から断熱材まで自然素材にこだわりたい」。小学生の息子さんを持つKさん夫妻の要望に応えて建築家の福田義房さんがつくったのは、地元・埼玉の木材など国産素材をふんだんに使った住まい。シンプルで、おおらか。住む人(や、猫)と共に変化する、家族のようなお家。