幼稚園からこども園に生まれ変わるため、0~2歳児を受け入れる新園舎のプランニングを依頼された建築家の一原さん。他の園のリサーチに加え、経験豊富な保育士たちからの意見もくみ取りながらプランニングをスタート。省エネはもちろん、使い勝手のよい、園児も職員も快適に、安全に過ごせる園舎を完成させた。
この建築家に新園舎(右)。既存の園舎(左)の丸い壁面に呼応しつつ躍動感も感じられるように、楕円のモチーフを取り入れた。色調も合わせて明るくし、全体的な調和を図った
外観。園舎の横幅いっぱいに庇を深く出し、日射をコントロール。建物右側、十字架の両脇にはそれぞれ保育室があり、庇があることで光を柔らかく室内へ届けられる。外壁は明るい色で塗装。梁や柱は濃い茶色で塗装し、構造の力強さを表現した
楕円の庇がおおらかに被さる「みんなの広場」。上部を丸く抜き雨や雪はしのぎつつ、庇の下が暗くならないよう工夫。十字架を挟み、それぞれの窓は1歳児室(左)と2歳児室(右)。玄関を使わず、この窓から出入りすることも。夏は日陰に、冬は積雪しないエリアとして重宝している
みんなの広場は「外の教室」と一原さん。棚をイメージしてニッチを設け、縁をカラフルに塗装した
1階廊下は「虹の道」と呼び、多目的に使えるスペースに。窓のカラフルさやランダムな配置が楽しい。窓の外には散歩道が見え、道行く人たちと手を振り合うなど交流も。保育室へ持ち込まず、廊下の日当たりがよい場所やパッシブ換気で上がってくる暖気を活用し、コートなどを干す
1階廊下。画像右の開口は調理室。高性能の基礎断熱を取り入れたうえ、床には無垢材を採用。塗装も足触りがよいものにこだわった。園児が気持ちよさそうに裸足で走り回るのはもちろん、職員もスリッパを履かず靴下でいることが多いのだそう
1階、園児も親も利用できる待合コーナー。正面の棚は靴棚。プレートには、モチーフである楕円形を取り入れた。画像右「せんせいのへや」の扉を開けると、2階への階段がある
撮影:佐々木育弥