「周辺環境に調和し、近隣に配慮した住宅」という言葉は、住宅建築においてよく耳にするキーワードのひとつ。「栗の木テラス」は経済合理性が求められがちな共同住宅ながら、まさにそのキーワードを体現した好例だろう。設計を手掛けた建築家の苅部寛子さんのインタビューを通じ、誕生へのプロセスを紐解いてみたい。
この建築家に敷地北東に配置された104号室。北側と東側をL字形の専用庭に囲まれ、まるで戸建て住宅のような雰囲気。LDK南側の開口部からの風景は、まるで部屋が宙に浮かんだような不思議な印象をもたらす
敷地南西の2階にある201号室。キッチンに面したLDK(写真)の手前にもLDKスペースがある。写真奥の空間は寝室。カーテンで仕切ることもできるが、仕切らずに大きなひとつのLDK空間として使うこともできる
敷地北西の2階に配置された203号室。LDKから寝室側を見たアングル。南棟と高さにズレがあるため、南側の屋根からは川向かいの山の緑が見える。玄関には広々とした土間スペースも
敷地北東の2階に配置された204号室。専有面積は約73㎡のファミリータイプ。LDKがコの字形になっていて、アイランドキッチンを挟んで、ふたつの空間がレイアウトされている。写真は東側の空間。3面開口の明るく快適な空間となっている
撮影:西川公朗