快適コンパクトな2拠点向け規格住宅が誕生
気負わず楽しむ憧れのデュアルライフ

都会と郊外を行き来する2拠点生活の人気が高まるにつれ、気負わずに建てられるセカンドハウスへのニーズも増えている。そんなニーズに応えるために建築家の李孝哲さんが自ら土地を購入、2拠点生活実験ハウスとネーミングをつけ、神奈川県青野原に建てた快適・コンパクトな規格住宅をご紹介。

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やりたいことを楽しむもう1つの生活拠点
『MOKKEJA(モッケヤ)』

都会と郊外それぞれに拠点をもち、郊外で休日を過ごしたり、テレワークをしたりする2拠点生活が人気だ。

これまでのセカンドハウスといえば、軽井沢や那須などにある豪華な別荘というイメージが主流だった。でも今は違う。本宅から車で1~2時間の里山などに拠点をもち、アウトドアを楽しんだり、自家菜園をつくったり。あくまでも「生活」の拠点だから地元のスーパーにも行くし、居酒屋にも行く。庭でガーデニングを楽しめば自然に声を掛け合うようになり、地域の方々との交流も生まれたりする。都会ではできない体験をして、会社や学校とは違う人間関係も得られ、世界がどんどん広がり人生はもっと豊かになっていく──。

「でも、セカンドハウスを建てるのは大変そう。大掛かりな住宅は厳しいし……」と思っているとしたら、

<欲しい機能を備えた「2拠点生活」を、わずか10坪の空間で実現します>

というフレーズはかなり刺さるのではないだろうか。この魅力的なフレーズと共に誕生した『MOKKEJA(モッケヤ)』は、建築家の李孝哲さんが代表を務めるムービング・アーキ一級建築士事務所がプランニングした規格住宅だ。気負わずに使える小屋のような家をイメージし、3つのプロトタイプに沿ったベースプランが用意されている。

李さんは『MOKKEJA』誕生の背景をこう話す。
「暮らし方が多様化し、人生を豊かに楽しもうとする人が増えているのに、都市部の住環境では思うように実現できないケースが多いと思います。でも、郊外にちょっとした小屋のような家があれば、気軽に足を運んでやりたいことを楽しめる。『MOKKEJA』は、そんなニーズに応えるために生まれた住宅です」

そう聞くと、別荘はハードルが高くても『MOKKEJA』なら……という期待が膨らんでくる。気になる『MOKKEJA』とはどんな住宅なのか、具体的にご紹介していこう。
  • 『MOKKEJA 青野原』は、プロトタイプ『Campa』のMサイズをカスタマイズしたプラン。L字の広いテラスが室内をぐるりと囲み、室内~テラス~庭の一体感を高めている。『MOKKEJA』はどのプランも太陽光発電を備えており、災害時の拠点としても心強い

    『MOKKEJA 青野原』は、プロトタイプ『Campa』のMサイズをカスタマイズしたプラン。L字の広いテラスが室内をぐるりと囲み、室内~テラス~庭の一体感を高めている。『MOKKEJA』はどのプランも太陽光発電を備えており、災害時の拠点としても心強い

  • 『MOKKEJA 青野原』は、広いテラスも生活空間として使えるアウトドアリビングのプラン。日が落ちるとテラスに柔らかな照明が灯り、お店のような雰囲気

    『MOKKEJA 青野原』は、広いテラスも生活空間として使えるアウトドアリビングのプラン。日が落ちるとテラスに柔らかな照明が灯り、お店のような雰囲気

  • 室内とシームレスにつながる広いテラスは、食事なども楽しめるアウトドアリビングとして大活躍。テラスも生活空間として使えるので、室内がコンパクトでものびやかな開放感がある

    室内とシームレスにつながる広いテラスは、食事なども楽しめるアウトドアリビングとして大活躍。テラスも生活空間として使えるので、室内がコンパクトでものびやかな開放感がある

  • 玄関側からの外観。竣工後は李さんと事務所のスタッフさんで庭づくりを楽しんでおり、現在も進行中。水害対策になり、雨天後に小さな池も楽しめるグリーンインフラ「レインガーデン」も造成

    玄関側からの外観。竣工後は李さんと事務所のスタッフさんで庭づくりを楽しんでおり、現在も進行中。水害対策になり、雨天後に小さな池も楽しめるグリーンインフラ「レインガーデン」も造成

快適、コンパクトで再エネも完備
無駄なく上質感もある素敵な「小屋」

李さんが『MOKKEJA』の着想を得たのは、休暇になったら郊外に所有するもう1つの家に行き、自然の中で豊かな時間を過ごすフィンランドの人々のライフスタイルだったという。その郊外の家は欲しい空間だけを備えたコンパクトな住宅が多く、李さんいわく「小屋のよう」なのだとか。今回の規格住宅を、フィンランド語で小屋などを意味する『MOKKEJA』と名付けたゆえんだ。

李さんと、事務所スタッフである阿知波嘉子さん、森本俊美さんの3人が中心となって設計したベースプランは、下記の3つのプロトタイプがあり、詳しい間取りはホームページで公開されている。いずれも『MOKKEJA』のコンセプトである「Off Grid」「Compact & Comfortable」「Diversity Lifestyle」が具現化され、「災害時の拠点にもなる再生可能エネルギーの活用」「コンパクトでも外とつながる開放感」「生活しやすい快適な水まわり」「多様な暮らし方ができる空間」などを備えている。

#プロトタイプ1『Hyugge(ヒュッゲ)』
Hyuggeは居心地がいいという意味。自然豊かな環境でゆとりの時間を楽しむライフスタイルをイメージ。L型の空間配置と室内に設けたダウンフロアでスペースを緩やかにゾーニングしてあり、家族やカップルが互いの気配を感じながら思い思いに過ごせる。

#プロトタイプ2『Campa(キャンパ)』
アウトドアを積極的に楽しみたい人をイメージ。リビングの延長に縁側のようなテラスを設置。室内~テラス~庭までの一体感が高く、広々と過ごせるアウトドアリビングを実現したプラン。

#プロトタイプ3『Ateljer(アトリエ)』
家にこもって絵を描く、楽器を弾くなど、趣味に没頭したい人をイメージ。外にひらいた開放的な空間と、多少汚れても気にならない土間空間が共存。日常から解き放たれたアトリエのようなプラン。

上記3つのプロトタイプのプランはそれぞれS・M・Lの3サイズが用意され、ベースプランは計9タイプあることになるのだが、「カスタマイズにも柔軟に対応します」と李さん。阿知波さん、森本さんも「私たちは設計事務所ですから、ご要望にフレキシブルにお応えできることが強みの1つです」と頼もしい言葉をくださった。

さらに、2拠点生活を考える人にうれしい情報も教えてくれた。李さんたちは既にベースプランをもとにした『MOKKEJA 青野原』を建てており、興味のある方は、見学や宿泊体験ができるというのだ。
  • 『MOKKEJA 青野原』でペットのインコを肩に乗せ、庭を眺める李さん。庭に思いきりひらいた室内からの眺めは抜群の開放感。緑豊かな里山の風景に心が和む

    『MOKKEJA 青野原』でペットのインコを肩に乗せ、庭を眺める李さん。庭に思いきりひらいた室内からの眺めは抜群の開放感。緑豊かな里山の風景に心が和む

  • ステイン塗装したスギの外壁は風合いがあって味わい深く、周囲ののどかな景色に馴染みながらも人目を引く。郊外の家は都市部に比べて広い庭を取りやすく、ガーデニングものびのび楽しめる

    ステイン塗装したスギの外壁は風合いがあって味わい深く、周囲ののどかな景色に馴染みながらも人目を引く。郊外の家は都市部に比べて広い庭を取りやすく、ガーデニングものびのび楽しめる

  • 『MOKKEJA 青野原』のリビングからキッチン&ダイニングを見る。コンパクトだが大開口でテラスとつながり、とても気持ちがいい。内装は本物志向の素材が使われ、上質感がある。木材は地元・神奈川県産のものを使用

    『MOKKEJA 青野原』のリビングからキッチン&ダイニングを見る。コンパクトだが大開口でテラスとつながり、とても気持ちがいい。内装は本物志向の素材が使われ、上質感がある。木材は地元・神奈川県産のものを使用

  • リビングはキッチン&ダイニングより少し床の高さを下げ、ホッと落ち着ける雰囲気を演出。薪ストーブの炎を眺めつつ、日常を忘れてくつろぐ穏やかな時間を過ごせる

    リビングはキッチン&ダイニングより少し床の高さを下げ、ホッと落ち着ける雰囲気を演出。薪ストーブの炎を眺めつつ、日常を忘れてくつろぐ穏やかな時間を過ごせる

  • 手前がリビング。奥がベッドルーム。「小屋」のイメージで木の質感を生かしたベッドルームは、壁や天井にスギを使用。経年と共に味わいが増すのも楽しみ

    手前がリビング。奥がベッドルーム。「小屋」のイメージで木の質感を生かしたベッドルームは、壁や天井にスギを使用。経年と共に味わいが増すのも楽しみ

神奈川県内の2拠点生活実験ハウス
『MOKKEJA 青野原』で居心地を体験

『MOKKEJA 青野原』が建てられた神奈川県相模原市の青野原は、緑の中に民家が点在するのどかな環境。都心からは車で1時間半ほどの距離でスーパーなどもあり、まさに「生活」拠点の1つという『MOKKEJA』の思想にぴったりのエリアだ。

間取りはプロトタイプの『Campa』のMサイズをアレンジしたもので、開放的なアウトドアリビング空間が特徴。室内は天然木やタイルで仕上げたナチュラルなテイストで、スキップフロアで空間を緩やかにゾーニング。全体的にコンパクトだが、広いテラスと一体化しているおかげで開放感は抜群だ。また、生活の快適性を重視し、水まわりはゆったりと計画。キッチンや洗面は使いやすさと洗練されたデザインにこだわり、浴室はヒノキ仕上げでバスコート付きという贅沢な空間となっている。

ちなみに、本物志向の素材が使われデザイン性も高いが、建物がコンパクトで別荘地でもないため、費用は一般的な別荘よりかなり低コストなのだそう。

現在ここはモデルルームとして見学や宿泊体験を受け付けている。同時に「実験ハウス」の役割も担っており、李さんや事務所のスタッフさんが週に1度は集まって庭づくりなどに励み、仕事後はみんなでバーベキューを満喫。訪れるたびに少しずつ手をかけていくことで愛着が増し、楽しみもますます増えているようだ。

「『MOKKEJA』によって、多くの方に希望のライフスタイルを実現していただくことが私たちの願いです。土地探しのサポート体制も充実させていますので、2拠点生活に興味のある方、やりたいことがある方は、あきらめないでお気軽にご相談いただけたらと思います」

空気の澄んだ緑豊かな青野原で、ペットのキュートなインコを肩に乗せながら思いを語ってくれた李さんは、終始笑顔でとても楽しそうだった。別に、人気の別荘地じゃなくてもいい。豪華な家でなくてもいい。好きなときにパッと行けるかわいい「小屋」で、もう1つの生活を楽しんでみる。そんなゆとりと豊かさを、私たちはそろそろ手に入れてもいいのかもしれない。
  • キッチンはオリジナル。天板は水に強いサワラ。側面はスギをステイン塗装したもので、外壁と同じ素材。背後にはカップボードや棚などが充実し、生活の利便性も高い

    キッチンはオリジナル。天板は水に強いサワラ。側面はスギをステイン塗装したもので、外壁と同じ素材。背後にはカップボードや棚などが充実し、生活の利便性も高い

  • 洗面台はサワラを用いてオリジナルで造作。シンクや水栓もデザイン性の高いものを厳選したワンランク上の水まわりだ。温かみのあるペンダントライトや間接照明もホテルライクな心地よさを生んでいる

    洗面台はサワラを用いてオリジナルで造作。シンクや水栓もデザイン性の高いものを厳選したワンランク上の水まわりだ。温かみのあるペンダントライトや間接照明もホテルライクな心地よさを生んでいる

  • ヒノキを贅沢に使った浴室。奥のバスコートにどんな緑を植えるか、考えるのも楽しい

    ヒノキを贅沢に使った浴室。奥のバスコートにどんな緑を植えるか、考えるのも楽しい

撮影:大野 朋美

※掲載写真は全て『MOKKEJA 青野原』

間取り図

  • 平面図

基本データ

作品名
MOKKEJA 青野原(モデルルーム)
所在地
神奈川県相模原市
敷地面積
327.17㎡
延床面積
59.95㎡
予 算
2000万円台