奥野公章さん設計の『荻窪ロウハウス』は、集合住宅でありながら自分好みの住まいをつくることができるコーポラティブハウス。驚くことに全住戸が庭付き一戸建て感覚で住めるという。住戸の事例とともに、工夫を凝らした奥野さんの建築の魅力を紹介しよう。
この建築家に【A住戸】奥行きのある住空間の中ほどに中庭を設けた住戸(写真中央)。屋外の自然を間近に感じて暮らせる落ち着いた空間だ。リビング・ダイニングは床が地面より低いため、椅子に座ると緑が迫るように目に入る
【A住戸】白い塗り壁と木目で仕上げた、ナチュラルな北欧風の空間。オーク材の床は途中で垂直に板を挟む朝鮮張り。垂直に張った板が境界線の役割を果たし、「ここまでがキッチン」「ここからリビング・ダイニング」と、適度にゾーニングされている
【C住戸】メゾネットを活かした吹抜けやテラスに面した大開口で、気持ちのよい明るさと開放感を創出。本来、壁から突き出した階段はコンクリートでつくるのが難しいが、奥野さんは入居者さまの好みに沿ってコンクリートで設計。表面には踏み板を張り、木の表情もプラス
【C住戸】ダイニングで過ごすことが多いという入居者さまのライフスタイルに合わせて、LDKの中央にアイランドキッチンを配置。キッチンはセパレートで、奥の壁沿いにはコンロがある。写真右側は床を一段低くし、アイランドキッチンとテーブルの高さがそろうように調整