神奈川県藤沢市に、独創的な2世帯住宅が誕生した。湘南の気候を感じられ、大きな邸宅が残る街並みに溶け込んでいる。しかしこの作品の最大の特徴は、将来自由に建物の使用方法を変更できる点だ。そのため、特殊な構造を採用している。2世帯住宅を考えている方にとって、とても参考になる事例をご紹介しよう。
この建築家に左が奥庭。正面が親世帯で右側が子世帯。2棟は屋根付きのテラスでつながっている。変形敷地の特性を活かし、角度をつけた配置。その結果、視線やプライバシー、採光の面でも問題がないプランとなった
2棟をつなぐ大きな屋根付きテラス。高さがある奥庭の緑を眺めながら、湘南の空気を感じることができる
道路から見た敷地。高低差を活用したプランだ。左の駐車場は将来、室内化することも可能な設計だ
エントランス。左が子世帯、右が親世帯の玄関。立派な奥庭の一部が通路の先に見える
子世帯のダイニング。スキップフロアの先にリビングが見える。右側の奥に見えるのは、テラスと親世帯の棟
子世帯のリビング。奥様が音楽の先生なので、グランドピアノが設置され、その背後はすべて収納となっている。庭の存在感に拮抗するため天井は3.8mと高くし、収納の壁面も大きなものとした
別角度のリビングから見た風景。奥にあるのが親世帯の棟で、その間をつなぐのが屋根付きテラス。左に奥庭の緑が見える。高い天井と全面ガラス、テラスの屋根が室内にまで続くことで、外と中の連続性を感じることができる
リビングから奥庭側を見た風景。藤沢駅からほど近い立地とは思えない、緑の自然を感じられる。開口部が大きく、湘南の風や空気に包まれる空間だ
子世帯のキッチン・ダイニング。前面道路にもっとも近く、街に接する場所。床にタイルを使うなど、あえて周辺との距離感を近づけた。とても幅広い造作キッチンは、多人数で料理をすることも可能だ
子世帯のドレスルーム。浴室はハーフユニットで、上半分はFRP製。コストを抑えつつ、自由に大きな窓を配置できて水漏れリスクが少ないためによく採用するとのこと。右側はすべて衣服の収納スペース。トップライトは開閉でき、明るさの確保と自然換気に役立っている
親世帯のダイニング。重厚な色合いの家具にあわせて、天井や床の色をチョイスした。
子世帯と違う、クラシカルな雰囲気だ。奥庭側のウッドデッキに接し、いつでもその景観を楽しむことができる
親世帯の2階寝室。落ち着く空間とするために、あえて天井は低めに。正面に街の景色が見えるが、RC製の柱があることで適度な距離感となっている。子世帯の棟とは平行でなく斜めの配置なので、右側に大きな窓を設置することもできた。陽の光も入り、湘南の風が吹き抜ける
親世帯の和室。街側だが前庭が設けられているため、視線を感じることがなくプライバシーも確保されている。将来介護が必要となった場合には、この場所を寝室とするなど柔軟な変更が可能
奥庭から見た風景。左が親世帯で右が子世帯。その間を屋根付きテラスがつなぐ
撮影:Kenta Hasegawa