川沿いに土地を購入され、中庭がある家で自然を感じながら暮らしたいと望まれていたお施主さま。しかし、家を貫通する中庭をつくるにはスペースが足りない。そこで建築家の平野さんは生活空間とする2階の真ん中に広々とした庭をつくることを提案。強度や排水などの課題はあったが、混構造を取り入れ実現した。
この建築家に1階ホールから奥の納戸を見る。南側にスリット状の窓を効果的に配置し、ホールは明るい。1階はコンクリート打ち放しとした。2階に庭を置いたため、強度や耐水性の確保という問題も1階をRC造としたことでクリアした。ほかにもコストや災害対策などのメリットも
2階。中心に中庭があり、周りをオフィス(手前)、キッチン(右)、寝室(奥)、浴室(奥左)、階段(左)が囲っている。中庭の仕切り窓は、角に柱が必要ない木製建具を採用した。遮るものなく大きく開くので、庭と室内ではなく室内の一部として庭が機能する
2階。仕事の場と生活の場をコンパクトにまとめたからこそ、中庭も生活の場のひとつとなった。庭としてだけでなく、居室の一部として、また廊下のようにも役割を変えながら活用されている
2階、寝室からオフィスを見る。ガラス張りの中庭と、大きく開放した川側の窓のおかげで、家の一番奥からも空や窓の外まで視線が抜ける。中庭が生活空間に近く、自然を感じる暮らしというご要望がこの上ない形で叶えられた
撮影:針金 洋介