事業用だったスペースを住居にリノベーションした施主さま一家。設計を担当した酒井宏文さんは既存建物の構造を生かし、LDKに曲面壁を取り入れた。曲面壁は一般の住宅では珍しいが、空間の使い勝手や居心地にどんなメリットをもたらしたのだろうか?
白い曲面壁の反射光で明るさが増したLDK。ヒノキ合板の天井は少し低めだが、透明感のある白の塗装で軽やかさ、広がりを演出。造作のテレビ台とつなげた柱部分(写真奥中央)やソファまわりを除き、庭側は上下左右ぎりぎりまで大きく開口。庭との一体感がとても高い
LDKの内装は、天井がヒノキ合板、壁が左官塗りの漆喰、床が無垢のホワイトオークと、自然素材を多用。LDK内にはキッチン、ダイニング、ソファ、テラスなど、気分や好みで選べる魅力的な居場所が多く、傍らにはPC室もある
LDKの造作ソファは、大人4人が余裕で座れる大きさ。窓際の背もたれの上には壁がなく、振り向けばすぐに庭があるので、まるで公園のベンチにいるかのよう。室内にいながら屋外の爽やかな心地よさを味わえる
写真手前がシンクのあるアイランドキッチン、奥の壁付けがコンロのカウンター。奥さまも息子さんも料理を楽しみ、施主さまは魚をさばくとの話を聞いた酒井さんは、複数人で作業できる広いキッチンをデザイン。食器棚を置かなくてもいいように、収納もたっぷりつくった
キッチンのすぐ横には、施主さまがパソコン作業をするためのPC室がある。建具はないが曲面壁で柔らかく仕切られており、LDKとの一体感、適度な独立感のバランスが絶妙。ちょっと1人になれる秘密基地のような空間だが、LDKにいる家族の気配も感じられる
大きなアイランドキッチン、ダイニングテーブル、窓際のソファまで、団らんにふさわしいスポットが豊富
リノベーション前の1階内部。いくつもの空間に分けられ、在庫置き場や総菜の調理場、事務所などがあった
撮影:SHUN FUKUDA