細長い敷地の特徴を生かし、奥行きが感じられる家にしたいと考えられていたお施主さま。建築家の神谷さんは、ただ見通しをよくするだけでは十分な感覚が得られないという。その先を予感させる壁などの配置により、長い廊下を生かし切って奥行き感だけでなく、暮らしやすさ、豊かさも申し分ない家をつくり上げた。
1階、西側の廊下。黒い箱に集めた水回りのうち、ほぼ家族のみが使う脱衣所や浴室へはこちらからアクセス
1階リビング。格子の裏は階段、奥にダイニング・キッチン。格子や壁面が重なり合い、広さが感じられる
1階キッチンからダイニングを見る。天井が低く、落ち着いている。リビングと仕切られているが、廊下が玄関から繋がっており、また格子から視線がある程度抜けるおかげで閉塞感はない。ダイニングテーブルは造作。色味など室内の全体的な調和にもこだわった
1階キッチンから東側の廊下を見通す。行き来しやすさを考慮し、階段の一部を居室側に流した。リビング(奥)とダイニング・キッチン(手前)の間に設けられた段差により、室内移動の距離感が伸び、体感として広さを得られるようになった
撮影:佐々木育弥