洋風な外観、建売住宅を彷彿とさせるインテリアの築15年の家を、リフォームすることに決めたお施主さま。素材感が楽しめる、格調ある家にしたいと考え建築家を探し始めた。依頼を受けた傳寶さんは、お望み通りの品格ある佇まいの家と、豊かな庭を実現。居心地も含め全てが上質な家ができた。
この建築家に以前の庭は一面の芝生張りだったが、リフォーム後は山の風景をそのまま持ってきたような姿に生まれ変わった。新しく植えた約60本の樹木は、お施主さまと時間をかけて選んだという。隣家からの視線対策を兼ね、大きな開口の前にどの木を植えるかなど配置にもこだわった
外観。家は道路から4mほど上がった敷地に建つ。画像中、フェンスに挟まれた階段が駐車場や道路に繋がる
家を囲む庭。画像奥へ抜けると森のような庭に続く。家の奥の窓は和室、手前の窓はピアノ室のもの。室内の雰囲気に合わせ、和室は縁側に、ピアノ室はテラスとした。道路は画像左側に位置する。道路に対して敷地が上がっているのに加えて庭も挟まるため、大開口が実現できた
玄関からホールを見る。LDKと2階を結ぶ階段の手前に壁を立て、出入りが玄関から見えすぎないようにした
和室は外部からの視線を気にする必要がない道路側に向かって大開口している。畳から板張りに切り替わるあたりに設けた障子を引き込み戸にすることで、邪魔なものなく視線が庭へと伸びる。画像右の地窓は、道路と敷地を繋ぐ階段に面しているため視線が交わらないように計画した
和室から広縁、縁側と繋がる部分を見る。広縁を室内と同じナグリ仕上げの床とし、障子を開けたとき空間が分断されることを避けた。玄関脇から繋がる縁側は深い軒の下にあり、外部と内部の境界線がより曖昧に。ここは、息子さまが一番お気に入りの場所なのだとか
LDK。以前は、右に見える太い柱から庭と左の壁面に向かって直角に引いたラインの内側はテラスだった。テラス部分を増築して室内に入れ込み、ご要望通りの「広々としたLDK」を実現。手前、フラットな天井部分のスリットライトは板の木目に合わせて配置。洗練された印象に
リビング(手前)、ダイニング(奥左)、キッチン(奥右)。フラットな天井と勾配天井を組み合わせ、また床のレベルも変化させて空間が単調にならないように配慮した。奥さまこだわりのキッチンはフルオーダー。洗い物は庭を見ながらしたいとの要望から、シンクは窓に向けて設置
LDK。画像右は一面を収納とした。フラットな設えの扉は壁のようでもありLDKの洗練された雰囲気を保っている。ソファに向かい合う部分にはテレビを収納。扉が横にスライドするおかげで、テレビを使うときも扉が邪魔になることがない
ダイニング(左)、キッチン(右)。太い鉄骨の柱は四角く覆うと存在感が出すぎると考え、八角形でカバーした。高い技術がなければできないことだが「職人さんたちが上手に仕上げてくれました」と傳寶さん
撮影:冨田 英次