「シンプル」という言葉の同義語は「単純」「簡素」「簡略」といったところだろう。しかし建築においては、シンプルなデザインだからといって単純なつくりでも、建築家が手間をかけずにつくるわけでもない。大人気の犬専門写真館をつくったのは、施主とじっくりと対話し、手間暇かけた仕事に定評のある建築家、服部さんでした。
この建築家に自然光で撮影ができるよう、大きな窓を設置。壁は角の線が映らないよう丸みを持たせた。床は自分達でメンテナンスできるよう、Dさんと服部さんで塗装したという。
階段を上った先には、イラストレーターの奥様の作業スペースを設置。奥には収納も設けた。
1人で籠ったり客間としても使えるフリースペース。四角く空いた開口は、この部屋に取り付けられたエアコンの風を居間に導き、逆に居間からは光を導くためのもの。
台所、洗面浴室、WICのあるゾーンの壁は、暗くなりがちな室内に光を回り込ませるため、白く塗り丸みをつけた。左の丸い開口は、寝室に置かれた文鳥のケージがみられるようにしたもの。
約9畳の居間はシンプルそのもの。天井や壁はラーチ合板、床はフレキシブルボードという構造材をそのままに。開放感をもたらす大きな窓には、カーテンすらつけない、ミニマルライフを送られているという。
撮影:DOZONO STUDIO