一見すると周囲の家々と馴染む普遍的な佇まいの家が、中に入ると驚きの空間に仕上がった。「普通であること」と「差異をつくること」を意図し、家族皆が大満足の家となった秘策「ズレ」に迫る。
この建築家にダウンリビングの前の壁には、埋め込み式のテレビ置き場。和室の小上がりを利用した収納を設けAV機器やゲーム機などを収納。壁の中に電源設置や配線を行うなど、随所に工夫が見られる。
キッチンも1段低くすることで、領域分けや子供たちとの視線が合う。天井高の低さは、中二階のファミリールームのためでもあるが、籠るような形になることで、ダイニングの開放感が増すことにも繋がる。
客間としても利用できる和室は小上がりに。ホームベースのような5角形とすることで、ダイニングとは違った庭の景色が見られるという。
中2階にあるファミリールーム。天井も高く、景色も見通せる快適空間。子供たちの遊び場、勉強部屋として重宝しているという。
階段脇には棚を設置。ミニカーを飾り子供たちの成長の記憶を残す。階段下には、キッチンの排気ダクトが通るなど、スペースを有効活用した。
廊下をあえて斜め45度振った「ズレ」を設けることで、子供部屋との距離感やWICと吹き抜けを生み出した。北側の大きな窓から光は通すものの、プライバシーは守られるよう、手すりの下は透過性素材を使っているため明るい。
洗面コーナーは、上部に窓を設けワイドなミラーを採用することで、明るさと抜け感をもたらした。隣り合うトイレの扉も、天井までの高さのあるもので、高級感を演出。
ランドリールームは、明るさをもたらす黄色の部屋に。天井には物干しのレールを設置。ミーレの乾燥機を入れられる高さに棚を造作。汚れものも洗える実験用シンクも設置し、家事に優しい設計。
夜になると、ガレージに明かりが灯り、玄関までのアプローチがトンネルのように感じられる。開口部からは、リビングの様子がほのかに感じられる。