独自の住宅文化をもつ奄美大島。奄美独自の住宅の良さと、現代建築の快適さを兼ね備え
た住宅をつくったのは、建築家の小野良輔さん。島外出身者だからこそ気づくことができ
る、伝統住宅の要素を取り入れた家づくりに迫る。
奄美の自然豊かな住宅地に佇むN邸。杉板と入母屋・切妻ハイブリッド屋根の平屋は、周囲の新旧の家々とも馴染んでいる。敷地の一部をバス停のベンチとして開放し、集落とのつながりももたせた。
深い軒は、車から雨に濡れずに邸内に入れるとともに、外壁の劣化を防ぐ。玄関前の花ブロックは、外部からの目隠しとなりつつ、風通しを実現。
敷地裏側には、広々デッキと伐採した木で作ったテーブルセット。外からの視線を木にせず、BBQなどが楽しめる。
切妻屋根の形状を活かした高さからくる開放感、壁がない大空間とすることでの横の広がりにより、明るく広々とした室内が実現。
リビングはあえて350㎜低く設計。高さが変わることで視線が変わり、空間の広がりの感じ方が変わる。縁はベンチの役割を果たし、大人数が集まっても座る場所に困らないのだとか。
撮影:長谷川健太