ペットと暮らす家をどうつくるかは、飼い主にとって大事なテーマ。でも、「ペットのための何か」を加えただけでは、人もペットも真の満足感を得られない。ではどうするか? その答えは、犬猫専門建築家・廣瀬慶二さんの自邸兼アトリエにあった。
この建築家に道路側の西の外観。数段の階段でアプローチできる玄関を1階と2階の両方に設けるために、前面道路が1.5階の位置にくるような、地盤面が道路より低い敷地をわざわざ探したそう。写真右の低いところは住居玄関。左はアトリエ玄関。三角屋根でポーチを覆ったデザインがかわいい
1階LDKは木目と白のナチュラルな内装。ポラダのチェアやルイスポールセンの照明といった上質な家具が映える。写真奥は猫階段。写真右の木製ドッグフェンスの先は猫ダイニングで、猫の食事スペース、水飲み場、トイレ置き場がある。いずれも違和感なくインテリアに馴染んでいる
LDK内にある吹抜けの猫階段。猫のためのものだがインテリアの素敵なアクセントになっている
1階LDKは愛犬のくつろぎスペース。ソファの背もたれの上が特にお気に入り。廣瀬さんは犬の立ち入り禁止ゾーンを明確に決めてドッグフェンスで「通せんぼ」し、それ以外の場所では自由に過ごさせている
LDKの猫ダイニングに入る猫。犬が入るのを防ぐ木製ドッグフェンスの猫穴から出入りする。LDKの床は犬が粗相しても洗剤でガシガシ掃除できる塩ビタイル。壁はペンキ塗り調クロス。ペンキ塗り調クロスは表面強化されており、表面がつるんとしていて猫が引っ掻かないのだそう
アトリエの応接室。バリエーション豊富なキャットウォークが充実した空間は、まさに「猫の都市
ロフト階のメインキャットウォークで遊ぶ猫。ここは屋根裏に当たる部分だが、廣瀬さんは設計に工夫を凝らし、障害物がない見通し抜群のメインキャットウォークを実現。2匹の猫の一番のお気に入りスペースで、ダッシュしたりのんびり外を眺めたり、毎日楽しく過ごしている
メインキャットウォークから分岐した組子細工のキャットウォークを歩く猫。猫の居場所が多彩なキャットウォークで接続され、「猫の都市」が形成されている。廣瀬さんいわく、「猫は頻繁にここを通りますし、通気性がよいせいか、よくお昼寝もしています」
廣瀬さんは設計時に犬の立ち入り禁止ゾーンを決める。キッチンも立ち入り禁止なのでカウンターの側面に引き戸を付け、両側から鍵をかけられる両面サムターン鍵を設置。これで、引き戸を開けられる賢い犬もキッチン内に入ってこない
廣瀬さん一家は音楽好き。地下音楽室はDr65(建物はDr100)の防音性能で気兼ねなく楽器演奏できる
2階、廣瀬さんのアトリエの応接室。屋根組みに方杖(ほうづえ)と呼ばれる斜めの補強材を用いたため、大きな三角屋根の中に2つの小さな三角屋根が出現。写真はそのうちの1つ。1部屋の天井がシンメトリーな三角天井になり、絵本から抜け出たような魅力的な空間に
アトリエの応接室にある猫ロフト。チェアはカッシーナのカクト(左)とポラダのドリスチェア(右)。「安易にペット用ソファなどを置かず、生地は引っ掻きに強いものに張り替えるなど、少し工夫して人が心地よく暮らせるインテリアを楽しんでほしいと思います」と廣瀬さん