ミッドセンチュリー・スタイルのモダンな住まいを望んでいた施主さま夫妻。その思いに応えたのは、モダニズム建築に確かな知見をもつ『JWA建築・都市設計』の渡辺純さん。これ以上ないほど最高のキャスティングで、どんな住宅が誕生したのだろうか?
この建築家に道路に面した南の外観。直線の美しさが際立つシンプルな箱型で、開放的な連続ガラス窓もあり、50年代のアメリカのモダニズム住宅を思わせる。大きなクスの木は世田谷区指定保存樹木。緑を湛えた大木とのバランスを取った建築デザインと植栽で、いちだんと美しい佇まいになった
南の外観夕景。50年代にアメリカ西海岸で多くつくられ、イームズ夫妻などの著名な建築家が設計に参加したことで知られる「ケース・スタディ・ハウス」を彷彿とさせる佇まい。1階は開放的なガラス張りのLDKがあるが、植栽によってプライバシーを守っている
1階LDK。エントランスホールから廊下を進んでくると、2面がガラス張りの明るく開放的なLDKが現れる。要望通り天井の一部が高く、日差しをたっぷり採り込むハイサイド窓も。屋外の自然をすぐそこに感じる気持ちのよい空間だ
1階LDK。リビングからキッチン方向を見る。薪ストーブ前は人が自然に集まる憩いの空間。広いキッチンの一部とも大きくつながり、料理をする人もリビングの様子がわかりやすい。キッチンの連続窓(写真左奥)の先は北の庭。室内のどこにいても緑を感じられる
天然スレートの床、白壁、スギの天井で仕上げた1階LDK。照明はダイニングがルイスポールセン、薪ストーブ前はインゴマウラー。こだわりの家具が映えるシンプルモダンな空間だが、一角には気軽にくつろげる和室もある(写真奥)
夜のLDK。道路に面した南(写真左)は豊かな緑、隣家がある西(写真奥)は緑とコンクリート壁で覆われており、プライバシー面も安心。窓のブラインドを閉めなくても気兼ねなくくつろげる
昼はブランチ、夜は軽くワインなどを楽しみたくなるガーデンテラス。フルオープン可能な連続窓は、上から吊って設置するタイプの特殊アルミサッシ。RC造や鉄骨造で使用できる(この家は鉄骨造)
LDKとガーデンテラスは床のトーンを合わせてあり、抜群の一体感。ガラス窓はオープンカフェなどによくある蛇腹式にたたむ仕様。フルオープンすると窓の存在を感じず、邸内にいても屋外のような開放感を得られる
料理が好きな奥さまのために、キッチンはゆったりと計画。北の庭に向かったシンクまわりは吊り戸棚がなくすっきり(写真右奥)。窓越しの緑を眺めながら気持ちよく家事ができる。冷蔵庫(写真左手前)はLIEBHERR、4つ口ガスコンロはASKOと贅沢仕様
多趣味なご主人が自分の時間を楽しむ書斎。奥の数段の階段をのぼるとルーフバルコニーに出られる。建具はガラス戸なので書斎からも開放的な景色が見え、階段で遊ぶ愛猫も興味津々。写真右には熱帯魚が泳ぐ水槽もある
ルーフバルコニーから書斎を見る。書斎のルーフバルコニーに面した部分の南側は連続窓。屋根は開口のある軽やかなデザインで、書斎にもたっぷりと光が入る
パーゴラもある広々としたルーフバルコニー。バルコニーを囲むように置かれたプランターには常緑の低木が植えられている。360度のパノラマビューと空、風、緑を五感で楽しむことができ、屋外パーティーにぴったりのスポット
撮影:小島 純司