コーデザインスタジオの小嶋直さんが設計した『カーサ・コンコルディア』は、明るく陽気なメキシコらしさと、ホッと落ち着く日本らしさが調和した住宅だ。Nさまご一家が毎日楽しく暮らすこの家には、どのようなストーリーがあるのだろうか?
この建築家に白壁と木で仕上げられた外観。「日本らしさ」という要望に応える切妻屋根は、構造の木を見せた軒天が日本らしい建築様式を表現するとともに、白い外壁を雨から守る役割も果たす。1階は屋根付きスペースがあり、多少の雨なら車から玄関まで濡れずに行ける。自転車を置くのにも便利
玄関を入ると薪ストーブのある広い土間。南に位置するダイニング、その先のウッドデッキテラスまで視線が通り、開放感たっぷり。土間は南から入る陽光や薪ストーブの暖かさを蓄熱する効果もあり、効率的に暖を取れる。この土間は奥さまが仕事でハンモックを展示するのにも使える
玄関は北側に配置。上部は吹抜けで窓があり、安定した北の光が通年入る。玄関が明るいのはうれしいポイント
南のウッドデッキテラスに面した開放的なLDK。ダイニングは吹抜けで、明るい光がそそぎこむ。照明はルイスポールセン、ダイニングの椅子はYチェア、奥のブルーの椅子はメキシコの人気デザイナーの作品。漆喰の白壁、土間、木を組み合わせた内装にモダンな家具が映える
ダイニング。画像上部は2階のフリースペース。吹抜けを介して2階にいる家族の様子がそれとなくわかる
吹抜けで2階との一体感を高めたダイニング。画像正面はキッチン。薪ストーブの脇の通路にはパントリーとして使えるたっぷりの収納もある。この通路はキッチンの奥に位置するバスルームなどの水まわりにつながり、家事動線がとてもよい
2階のフリースペースもハンモックで過ごせるスポットの1つ。本棚や収納として使える造作棚もあり、今ではすっかりご主人のお気に入りの場所になっている。吹抜けを介して1階の家族とのコミュニケーションも取りやすい
リビング。壁の一面はメキシコらしい鮮やかな黄色で塗装。階段は1段目を踊り場のように広く取り、窓際まで延ばしてテレビ台に。ハンモックは南のウッドデッキテラスに近い場所に設置した。この家にあるハンモックはメキシコの職人さんの手編み製。丈夫で見た目も味わい深い
リビングからダイニングを見る。リビングの床は木目が粗めのオーク材。ダイニングの床はモルタルの土間仕上げ。壁は漆喰で、天井は漆喰と木。自然素材がバランスよく使われ、広い1室空間でも単調な印象は皆無。家具がなくても映えるほど豊かな空間に仕上がっている
LDKとひと続きのウッドデッキテラスにもハンモックが。奥の一部は石張り、手前は芝生で表情豊かな庭に
撮影:金田幸三