ご自宅に隣接した敷地に、終の棲家(ついのすみか)となる「離れ」として計画されたOさん邸。これから年齢を重ねていくご夫婦がゆったりと暮らせる、ワンルームのような伸びやかな空間が広がります。リビングダイニングの中心には、1枚の壁が。そこには、雪に閉ざされる北国の住宅で、少しでも自然光を感じながら快適に毎日を過ごすための工夫が集約されていました。
この建築家に掃き出し窓の下部にはタイルを敷設。床暖房を入れることで大きなガラス面(窓面)の下降冷気を抑えつつ、雪で濡れた手袋や帽子、靴などの雪を溶かし、乾かすことができる。夏場はリビングと庭の出入りに使われているが、植木などを置いても拭き掃除がしやすい
斜めの壁の裏側は主寝室。壁の半分には放射暖房を設置し、もう半分は構造を露出しながら本棚にしている。Oさんの蔵書のサイズに合わせ、A4や単行本がぴったりと収まる高さに棚板を設置した
洗面所は天井を高めに設定。開口部を大きく取った高窓で自然光をいっぱいに取り入れている。一部を滑り出し窓にすることで、掃除の際は換気も可能だ。床にはリノリウムを敷設。天然素材ならではの優しい風合いを味わうことができ、比較的メンテナンスもしやすい